自宅長屋門(ながやもん)で、
建築設計事務所を営んでいる一級建築士
古民家建築の専門家 與那原浩です。
私が住んでいる妻の実家、今回は、太宰家
の離れ玄関【沓脱石】(くつぬぎいし)の
紹介です。
離れの玄関の引き戸を開けると、見えている
のが、沓脱石(くつぬぎいし)と言われる石
です。
―犬伏武彦著 【民家ロマンチック街道―伊予路】引用―
玄関土間から畳床まで700㎜ありますので、
上にあがるには高さ的に必要になります。
台座石(だいざいし)の高さが60㎜あり、
その上に納められています。
沓脱石の上部にある上り框(あがりかまち)
はケヤキ材です。105×258(㎜)の太さです。
大きさは、幅1,150×奥行305×高さ270(㎜)
です。石の種類は花崗岩(かこうがん)と
思われます。
全体は小叩き(こたたき)のハツリ仕上げ
で、角は15RのゆるやかなR面となって
おり、目地切り(めじぎり)が施されています。
R面の計測は中村好文氏考案の定規
アールゲージにて計測しました。
畳床からだと、このように見えます。
床下の湿気対策で高床になっていますが、
この高さだともう一段欲しいところです。
残念ながらバリアフリーとは言えないです
ね。
しかし、手すりを設けたりして昇降しやすい
工夫を施せば、バリアを解消できます。
古民家でもバリアフリーの再生は必要だと
考えています。
手すり・段差解消・スロープをつけるなど、
高齢者の方がお住まいの住宅を改修する
場合には、補助金が活用できます。
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ございました。
【建築ワード説明】
長屋門(ながやもん)
門に住まいが合体した建物を長屋門とよび、
武家屋敷や裕福な農家の門として造られた
ところ。長屋門では、門の両側部分は使用
人などの住居・納屋・作業所などに利用
されていた。
沓脱石(くつぬぎいし)
土間から床までの高さがあり、1段で上がる
のには高すぎるとき、途中に配置される石
のこと。
上り框(あがりかまち)
主に玄関の上がり口で履物を置く土間の
部分と。廊下や玄関ホール等の床との
段差部に水平に渡した横木のこと。
花崗岩(かこうがん)
火成岩の一種で、御影石(みかげいし)と
呼ばれる。ありふれた石材で、硬いので
建築材料として用いられる。研磨すること
によって光沢が出る。
小叩き(こたたき)
石の表面仕上げの方法で、ビシャン仕上げ
(特殊なハンマーで叩いて表面を凸凹に
仕上げること)を施した上に、石ノミで
もって細密な平行線をきざんだ仕上げの
こと。
ハツリ仕上げ
表面をタガネでたたいて薄く削り取り、
ざらっとした仕上げにすること。
R面(あーるめん)
Round の頭文字をとった表現で、曲面の
ことをいう。ここでは、沓脱石の角の尖った
ところを丸く面取りすること。
目地切り(めじぎり)
少し間隔を空けた部材間の隙間・継ぎ目の
部分のこと。
中村好文(なかむらよしふみ)
千葉県出身。武蔵野美術大学建築学科
卒業の建築家。1981年に独立して設計
事務所を設立し、住宅建築を中心に活動、
家具製作も行っている。
様々な建物を紹介するエッセイストとしても
知られており、建築家としての活動のみ
ならず、執筆活動も20年にわたり継続的に
行っている。
アールゲージ
モノの角の丸さを半径で示すR(アール)
は、【radius】すなわち「半径」のことを
いい、建築部位の角の丸さを正確に測る時
に使用する定規のこと。
畳床(たたみどこ)
畳を敷いた床の間のこと。