「岡田啓介回顧録」(岡田啓介)

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ぐいぐい引っ張っていくタイプのリーダーというのは、それはそれで魅力的ですが、裏目に出ると、人の話を聞かない暴走・独善型の独裁者ともなりかねません。

 

企業経営者や市民活動家なら、輝くビジョンを打ち出して、「ついてこれる奴だけ、ついてこい!」でいいのかもしれませんし、政治的に安定して分厚い中間層のある社会でも、それを受け入れる余地はあるかもしれません。

 

が、そうでないところでそういう政治家が現れると、国が二派に分かれて内戦に、ということにもなりかねません。

 

ということで、古き良き(?)「調整型の腹芸リーダー」というのも、再評価されてもいいのかもしれません。

 

本書は、戦前の海軍軍人・政治家で、1930年代に海軍大臣と首相を歴任、戦時中にはフィクサー的な存在として東条英機内閣の倒閣・終戦工作に動いた岡田啓介の回顧録です。

 

決して先頭に立って動きを引っ張ると言うことは無く、対立する両方の勢力の両方の顔を立てつつ、追いつめず、なんだかよく分からないうちに流れを作っていく腹芸。

 

「国を想う大タヌキ」(米内光政の評)とも呼ばれた調整型リーダーを学べる?1冊です。