読むこと考えることその他

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パンク、ニューウェーヴ、アヴァンギャルドコーナーです。

ロカビリー風ポストパンクのアメリカのSuicideです。



1977年のアルバム「Suicide」から2曲目です。


by Suicide

小説「海へ」1-4-J

 

前回までのあらすじ:

電車の中で少女漫画家の原稿を読んでいた主人公は、作者である少女と同じ電車で出会う。
少女は出版社に原稿を届けに行く途中であり、漫画家になる夢と、出版社が仮想空間を移動するという奇妙なシステムについて説明する。
一方で、主人公は少女の原稿に夢中になり、「たいむぶれっど」の後半の最終2ページまで読む。
そこでは、誰もいない部屋に置かれた二台の電話機が描かれていた。
それらの電話機は、絶えず繰り返される無意味な言葉の羅列によって疑似意識を持つようになり、仮想上の歴史体系を構築していた。
それは、それまでの登場人物は全て消滅しているという、全く新しい漫画の展開であった。

 

第一部

第4章「電話機たちの沈黙、そして喪失」(10)

 

そのページの最終コマは次のようになっている。

 

 

◎ 電話機が電話機に対して問いかける。

 

――あなたは一体何物なのか。

それに応えて(何が応えているのかは、よくわからない)、

 

――わたしは何物でもない。

結局、何物でもあろうとすることなどできないのだから。

 

――わたしは何物かではなく、かつまたあなたも何物かではない。

それは、あなたもわたしも何物かであったときにはわかったのだろうが、もはやわかることはあるまい。

云々……。

 

 

なかなか寓意的な幕切れではあるな、とぼくは思った。

もっとも、何に対して寓意的であるのかはよくわからないのだが。

 

(続く)

 

結局、何物でもあろうとすることなどできないのだから。

(イラストはCiCiAI生成によります)

 

 

海へ「目次」

 

「海へ」第1回

 

レトルトのマジックスパイス・スープカレーです。

 

 

実は、このカレーの本元のお店が札幌にあるらしく、東京都内でも下北沢に支店がありました。

 

東京に頻繁に行ってた頃は、その下北沢のお店にも良く通ったものですが、最近ではどうだか知りません。

 

地元に支店ができるのを待つか、このレトルトで満足するか、です。

 

ちょっと辛いですが、美味しいですよ。

 

谷山浩子特集、2周目です。



1978年のアルバム「もうひとりのアリス」から9曲目です。


by 谷山浩子
パンク、ニューウェーヴ、アヴァンギャルドコーナーです。

ロカビリー風ポストパンクのアメリカのSuicideです。



1977年のアルバム「Suicide」から冒頭1曲目です。


by Suicide

小説「海へ」1-4-I

 

前回までのあらすじ:

電車の中で少女漫画家の原稿を読んでいた主人公は、作者である少女と出会い、その才能を評価する。
少女は、出版社に原稿を届けに行く途中だった。
主人公が少女の原稿を読んでいる間、彼女は漫画家になる夢と、出版社が仮想空間を移動するという奇妙なシステムについて説明する。
少女は、出版社は仮想のものであり、仮想のものがあるのはたいてい首都だと主張して、主人公に同意を求める。

 

第一部

第4章「電話機たちの沈黙、そして喪失」(9)

 

といった具合に長々と述べられてきた少女の口上を、ぼくはほとんど上の空で聞いていた。

それ程に少女の原稿はすばらしかったわけだ。

つまり、そちらのほうに意識を集中させていた。

 

『たいむぶれっど』後半の最終二ページ目は次のような情景で締めくくられる。

誰もいない部屋に置かれた二台の電話機。

この二台の電話機は、絶えず繰り返されてきた無意味な言葉の羅列の連想ゲームによって一種の疑似意識を有するようになる。

(それがどのような視点的立場から観測され、描写されているかは不明なのだか、それをあたかもそのように描いているのがこの作者のすごいところである)。

そして、彼らは、その疑似意識内に仮想上の歴史体系を構築し、その中で彼らがかつていかにすぐれた生物であったかを思い返し、現在の身の不遇を嘆いている。

すなわち、彼らに生殖能力がない以上、これより先自らの歴史を生産できないわけだ。

彼らは、そのことをありもしない先祖にひたすら詫びることになる。

さて、この段階で、今まで出てきた登場人物は全て消滅している。

物語が人間の存在を必要としていないのだ。

こんなのは初めてだとぼくは思った。

 

(続く)

 

誰もいない部屋に置かれた二台の電話機

(イラストはCiCiAI生成によります)

 

 

海へ「目次」

 

「海へ」第1回

 

久しぶりの牛丼です。

 

 

この牛丼が、どこのチェーン店のものが、わかる人はいるでしょうか?

 

素人であれば、ドンブリの模様から当てます。

 

玄人であれば、目を瞑って、一口食べて当てます。

 

皆さんも牛丼名人になりましょう。

 

谷山浩子特集、2周目です。

今日はニコ動です。

https://www.nicovideo.jp/watch/sm9610465

2007年のアルバム「フィンランドはどこですか?」から9曲目です。


by 谷山浩子
パンク、ニューウェーヴ、アヴァンギャルドコーナーです。



1979年のアルバム「The Raincoats」から最終10曲目です。


by The Raincoats

小説「海へ」1-4-H

 

前回までのあらすじ:

電車の中で「たいむぶれっど」という漫画に出会った主人公は、偶々で電車内にいた作者の少女の才能に惹かれる。
少女は出版社に原稿を届けに行こうとして、主人公と少女はしばらく議論をするが、互いに疲れて、主人公は漫画の残りを読み始め、少女は独白を始める。
少女は、自分が少女漫画家になるべきだと気づいたこと、漫画家志望の少女は多いのに、出版社の数が限られていることなどを言う
さらに、少女は「出版社浮遊移動システム」という奇妙な原理を説明し、自分の作品がそのシステムに拾われた運のいい原稿だと言い、なおも独白は続く。

 

第一部

第4章「電話機たちの沈黙、そして喪失」(8)

 

……

ところで、次の原稿を雑誌に載せるとしたら、多大な苦労がともなうことになるわ。

なぜなら、その出版社が次にはどこの地点にあるか、常に経常観測していなければならないから。

わたしが徹夜をして、今とても眠いということは、実は原稿書きのためというよりも、その観測のためなのよ。

そして、わたしは、この地点にあるものと見定めて、この電車に乗ってきたというわけ。

ところが、ここにはあなたがいたわ。

そして、残念ながらあなたは出版社ではないわ。

だから、わたしは、首都に行かなければならないわけ。

なぜって、応募原稿の海が仮想上のものである以上、浮遊移動出版社も仮想のものであるはずで、仮想のものはたいてい首都にあるからよ。

首都というのは、これもまた仮想のものにほかならないのだわ。あなたも、そう思わない……」

 

     *    *    *

 

(続く)

 

わたしが徹夜をして、今とても眠いということは、実は原稿書きのためというよりも、その観測のためなのよ。

(イラストはCiCiAI生成によります)

 

 

海へ「目次」

 

「海へ」第1回