長期連載型の「るーみっくわーるど」

犬夜叉 (1) (少年サンデーコミックス)
犬夜叉 (1) (少年サンデーコミックス)高橋 留美子

小学館 1997-05
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◆◇◆◇◆◇◆◇◇◆ あらすじ ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

神社の娘・かごめはある日、実家の古井戸から500年前の
妖怪と人間の争いが続く戦国時代へタイムスリップしてしまう。
そこで、50年間封印されていた半怪・犬夜叉と出会う。

かごめはかつて四魂の玉と共に死んだ桔梗の生まれ変わりで、
桔梗は犬夜叉と恋仲でありながら、妖怪・奈落の罠によって
犬夜叉を憎み、彼を封印した巫女であったと知る。

かごめの持つあらゆる願いを叶えるという"四魂の玉”を狙って
妖怪が群がり始めるが、ハプニングから玉は砕かれ、方々に
散らばってしまう。

散らばった四魂の玉のかけらを集める為、宿敵・奈落を倒す為
犬夜叉とかごめの旅が始まる。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


この連載が始まった時にはキター(・∀・)!と思った。
高橋留美子作品の人魚シリーズとかが好きだったので、
このテイストの物語が週刊連載で始まったときは嬉しかった~。

でもなんせ長い続き物なので、週刊連載で拾い読みしてると
意味が分からなくなったりしました(;´▽`A``
一気読みをお勧めします。


犬夜叉は妖怪と人間の混血、"半妖"という半端な存在なため、
願いを叶える四魂の玉を使って完全な妖怪になりたいと望む。
でもかつては巫女・桔梗と恋をして、人間になろうと思った事も。
死んだ桔梗への未練を残しつつ、かごめにも惹かれる犬夜叉。

この犬夜叉の、かごめと桔梗への心の揺れっぷりといったら
高橋留美子って本当に女?と思う程イライラするものがある。

普段ならはっきりしないのなんてイヤ!って思うほうだけど、
でも、桔梗の切なすぎる存在と、犬夜叉の後悔と優しさが伝わり
かごめの強い心と、深い愛情に魅せられて、読めちゃうんです。

この三角関係は本当に切なくて心が痛いんだけど、
最終的には読んでよかったと思わせられる。
読後は本当にさわやかです。

冒険活劇みたいな感じなのに、
人を好きになる、大切に思うって、なんだろう?
愛情って一言で語れない、カタチは一つじゃない。
生きるってなんだ、どうして生きたいんだっけ・・。
・・・みたいな、変な感情が生まれたりします・・・。


また、奈落に死の呪いをかけられた法師・弥勒や、
奈落の罠により家族を失った妖怪退治屋・珊瑚、
冷徹な妖怪、犬夜叉の兄・殺生丸など、他にもたくさん、
個性ある魅力的なキャラたちの行く末がとにかく気になって
どハマりすること間違いなしだと思います( ´艸`)



↓ネタバレ感想を読んでくれる方はクリックして下さい↓


私はかごめに感情移入していたので、
犬夜叉が「桔梗、桔梗」と言ってかごめを置いてってしまう度に
すごく切なかった・°・(ノД`)

犬夜叉が桔梗を選んでしまったときも本当に切なかった。
でも、その後もなんだかんだ桔梗とどうこうなる事はなくて、
犬夜叉とかごめの何だかよく分からない関係は続くんだよな。


やっぱり、桔梗は既に一度死んだ人だから
時間を必要とする"変化"というものがないんですよね。

犬夜叉を恨んで死んでしまった時の誤解を解く事が出来ても、
犬夜叉を好きだった頃のの気持ちに戻るだけなんですよね。
それ以上には進むことが出来ない。

犬夜叉と二人で会って、互いに大切だと気持ちを伝えられても、
ただそれだけ。その先へは行けない。
そこで終わり、なんですよね。

犬夜叉とかごめは同じ時間をすごして、
過ちを犯したり、許したり、ケンカしたり、仲直りしたりして
時間をかけて絆を深めてく事が出来るのに、桔梗にはできない。

桔梗が結局、一度も犬夜叉と行動を共にする事がなかったのも
犬夜叉と同じ時間を過ごす事が出来ないって事だったのかな。
かごめや仲間と過ごして、ひとりで成長してってしまう犬夜叉を
見るのも辛かったのかもしれない。

そう考えると、自分に絶対出来ない事をしてあげられるかごめに
桔梗が嫉妬するのもすごくよく分かる。

止まった桔梗の時間は、絶対に前へ進む事が出来ない。
それが死んでしまうって事だし、桔梗って本当に悲しい存在だ。

桔梗が死ぬ時はかごめ贔屓の私でもかなり泣けたよ・・・。
もう少し何かしてやれる事があったんじゃないか、と
後悔してしまうような、孤独な過ごし方をさせてしまったよ・・。



そして、桔梗もかごめも、二人とも好きで大切だという犬夜叉。
一方はかつて守りきれなかった人で、
もう一方は、今守らなければならない人。

桔梗とかごめは犬夜叉の生と死の象徴みたいなものに感じた。

もし、犬夜叉が桔梗のことだけを好きだったら、
犬夜叉の後を追って死んだ桔梗に命がけで応えるために
一緒に死ぬことを選んでしまったかもと思う。
だけど犬夜叉にはかごめがいて、かごめを守らなきゃいけない。
だから犬夜叉は、最後まで死を選ぶことはなかった。
犬夜叉はかごめを守るつもりで、ずっと守られていたと思う。

死んだ人に対するどうしても忘れられない想いと
生きている人に対する止められない想い。
どっちも咎められるものじゃないからタチが悪かった。

犬夜叉の願いは桔梗の魂を救いたいということ。
かごめに生きていて欲しいということ。
その願いをかなえるために、どんな時も凄くがんばっていたから
バカヤロウと思いつつ、切なくて、かわいくて、憎めなかった。



かごめは、普通だったら犬夜叉のことなんか忘れて
逃げ出してしまいそうな場面でも、いつも絶対に逃げない。
何があっても「好きだから」の気持ち一つで全部許してしまう。
本当に、強い女の子だなぁと思う。

かごめが犬夜叉を諦めていたら、たぶん犬夜叉は桔梗と一緒に
逝ってしまっていたと思う。
かごめが諦めなかったから、犬夜叉は生きてたんだと思う。
かごめの命はそのまま犬夜叉の生への執着に繋がっていた。

かごめの「好きだから」というのは凄いパワーなんだよね。
「好きだから」に起因する全ての現象、嫉妬とか憎しみとかは
すべて仕方がないことだと受け止める事が出来る。

嫉妬や憎しみの感情に引きずられる事なく、
犬夜叉を好きだということの証明なんだと思うことができて、
「好き」という気持ちを大切にすることが出来る。
本当にカッコイイし、それがかごめの心の強さだと思う。

いつでも負の気持ちに引きずられていってしまう奈落が
かごめに勝てない理由が分かります。

でも最後のほうは、自分を傷つけると知っていても
桔梗が心配で駆けつけていってしまう、という犬夜叉の
そういう優しい所も、かごめは好きになってたような気がする。

桔梗を好きな犬夜叉も、どんな犬夜叉も、全部ひっくるめて
犬夜叉の事が好きなんだろうな、かごめって。
だから、桔梗を失った犬夜叉の痛みまで分かってしまう。
それもかごめの切ないところ・・。



作品に出てくるキャラクターみんなが大好きだったので、
奈落との戦いで誰かが死んじゃわないかと、本当に不安でした。

とくに琥珀が死んじゃうんじゃないかと心配したよ・・・。
神楽が死んでからは特に。

殺生丸も、りんが登場してからぐっと好きになりました。
りんと出会って、殺生丸の視点が少しだけ変る。
一緒に過ごすうちにまた変わる、また少し変わる。
それを繰り返していって、最終的には
「りんの命と引き換えに得るものなんて何もない!」
とまで思わせてしまうんだから
人と人の出会いって本当に不思議だ。

神楽や邪見は殺生丸の強さに惹かれていた感じだけど、
りんは殺生丸の弱い時に出会って、それでも殺生丸を慕う。
そいういう部分でも、りんってやっぱりなんか特別。
強くても弱くても自分を認めてくれる存在って大切なんだよね。


弥勒法師も、強くてかっこよくて大好きでした。
性格が歪んでたりスケベだったりするけど、
懐が深くて、誰よりも大人の余裕があって頼もしいんだよね。

弥勒に与えられた運命って凄く恐ろしい運命なはずなのに、
その運命を自分の中でしっかりと受け止めて、
珊瑚を支え、犬夜叉やかごめや七宝のことを優しく見守る。
ここぞという場面で珊瑚を守る弥勒はとんでもなくかっこいい。



読み進めるうちにどんどん好きなキャラが増えていって、
そのキャラたちがポイントポイントで交わってきたりするので
今後どう関わるんだろうと、ずっとワクワクして読めました。

ただね、奈落がね、分身だの手先だのがたくさんいて、
だんだん分けわかんなくなった部分はありましたけど・・・。


そしてラストの大団円はたまらない満足感を与えてくれます。
これだからるーみっくの世界はやめられない!

何度でも何度でも、繰り返し読みたくなります。
書いていて読みたくなってきた。
ホンットにお勧めですハート