この街を訪れるなら冬がいい。
きゅっと身を縮こませる一面の雪と、突き抜ける青い空が迎えてくれる。
学生時代を過ごした旭川に仕事のため戻ってきた。
街は様変わりしていたが、記憶をたどりながら当時通った店に足を運んでみる。
珈琲亭「ちろる」、三浦綾子の「氷点」に登場したことでも知られる旭川の老舗だ。
扉を開けると、木造りの店内に柔らかなジャズが流れている。
レンガ壁に染み込んだコーヒーの香りが、いつか この街に置き忘れた時間を蘇らせる。
この界隈は喫茶店が乱立していたが、今では殆どが店を閉じていた。
コーヒーを頼んでみる。
豆の煎り方を指定できるらしい。
昔は無かったこころみだ。
深煎りを選択。
コーヒー通ではないが、豊かな香りと深いコクが感じられる。
苦く甘い。
この店内で、いつか同じ時間を過ごしたはず。
現在では、リコッタパンケーキも人気らしい。
バナナ、生クリーム、メイプルシロップ、ハニーナッツバターが添えられている。
ふわりとした食感に、クルミ入りのバターが爽やかな味わいだ。
1時間ほど懐かしい思い出を旅した。
珈琲亭 ちろる
旭川市3条通8丁目






