早野龍五・糸井重里著『知ろうとすること』(新潮文庫) | 読書鷲の読書日記

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早野龍五・糸井重里著『知ろうとすること』(新潮文庫)


以前からほぼ日のサイトはよく見ていました。


東日本大震災のあと
色々特集が組まれたりもして、
いたずらに
恐怖心を煽るような論調ではなかったので、
見るともなく見ていました。


でも、
あんまり真剣に考えたことはなかった。


被災地産の食べ物を食べることに
抵抗はありません。

被災地出身のかたに対しても
偏見はないつもりです。


流通しているのであれば
あるていどの検査はされているのだろうし。

そこに住んでいたからといって
被ばくしているということでもないし。

仮に被ばくしていたとしても
接触を躊躇う理由にはならないし。


そんなふうに考えていましたが、
明確な根拠があるわけではありませんでした。


正直、
いまだに
「シーベルトってなんの単位?」
「ベクレルって?」
というレベルです。


過度に心配もしなかったけど、
きちんと知ろうともしなかった。

何を知ればいいかも解らなかった。

知ろうとしても、
何から手をつければいいのか解らなかった。


巷には関連書籍が山のようにあるけれど、
自分のレベルに合っているものはどれか?

信用できるものはどれか?

さっぱりわからない。


そんな状態で3年半が過ぎ、
この本に出会うことができました。


読もうと思った一番の決め手は、

 「文化系とか理科系を超えて。」

という惹句。


早野龍五さんは、
糸井さんのTwitterを通してしか
知らないけれど、
いつも冷静な語り口で、
素直に読むことができていたし、
その人と糸井さんの対談なら、
文化系で文科系のわたしでも読めるかな?
と思いました。

期待通り読みやすく、
挫折することなく読み通すことができました。


この本を読んで良かった。


そう思える本には、
なかなか出会うことができません。

とても幸せな出会いでした。


セシウムとか何?

放射線と放射能の違いは?

というくらい
理科系の話に縁遠くても大丈夫です。


ラドン温泉からの137億年前の水素、
わたしと道端の石は仲間、
というくだりがとても面白かったし、

福島の高校生の取り組みにはただただ感心。


こういう高校生がたくさんいてくれるなら、
日本の未来も
そう捨てたものではないかもしれない。

そう思わせてくれる本でした。

未読のかたは、ぜひ読んでみてほしいです。

ワンコインでおつりがきます。

出しただけのお金と、
読むのにかける時間以上の価値が
絶対にあると思います。


わたしはこのあと
『いちから聞きたい放射線のほんとう:
いま知っておきたい22の話』

も読んでみようと思っています。

『知ろうとすること』を読まなければ、
『いちから聞きたい放射線のほんとう』を
読んでみようなんて思わなかったです。


何かを知ろうとするにはきっかけが必要。

そのきっかけを、この本からもらいました。