私が住む地方都市には「古本屋」とよべる古本屋はなく、
ブックオフのようなチェーン店があるくらいです。
古本屋が好きでした。
今でも京都や奈良へ行った折には必ず古本屋へ寄って
何かしらの本を買って帰ります。
高校時代に何度となく繰り返して読んだ本、
柴田 翔著「されど われらが日々ー」
主人公の文夫が古本屋でみつけたH全集、
その裏に押されていたひょうたん型をした蔵書印。
これがこの本の始まりなのですが・・・
私はこの「ひょうたん型の蔵書印」にひどく感化され、
高校生としては大枚をはたいて同じ蔵書印を作ったのです。
それ以来、古本屋で気になる本をみつけると必ず裏表紙をみてしまうのです。
いろいろな本を手にとってみます。
そして洋書も・・・
時折はびっしりとマーカーをひかれているもの、
あれ?これって図書館の本?と思えるもの、
試験勉強、レポート用の本だったのか書き込みがたくさんされている本。
その古本の向こうに持ち主だった人の様子が
まるでスクリーン裏から映し出されるかのように浮かんでくることがあります。
恐らく、私の勝手な想像と思い込みだけなのかもしれませんが・・・
奈良にある古本屋でみつけたこの本、パニック症候群の本なのですが・・・
この本の持ち主はパニック症候群だったのか、それとも
アメリカではホームドクターともいわれるほど数多いpsychiatrist(精神科医)、
それともその勉強をしている学生だった?・・・
なんともすごいマーカーが引かれているのです。
そしてペーパーバックとはいえ、かなり専門的な本。
私はパニック症候群ではないのですが、
時折この本を開いてはマーカーされたところを拾い読みするのです。
古本屋、私も所蔵の本を持っていったこともありますが、
本にもその人その人の「匂い」があって、
ときを越えてその「におい」が伝わっているのだなぁ・・・と
ちょっと感慨にふけるのでした。