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家計負担「3年で31万円増」との試算も 実質賃金も浮上せず

 

岸田首相は、定額減税額の記載義務化で新たに批判を浴びた

岸田首相は、定額減税額の記載義務化で新たに批判を浴びた© zakzak 提供

 

 

6月から始まる定額減税については、サラリーマンの給与明細に減税額の記載を義務付けるなど岸田文雄政権の「恩着せがましさ」が目立つ。だが、エネルギーや食料品価格の上昇により、家計の負担増は3年で31万円との試算もある。実質賃金もリーマン・ショック級の落ち込みが続くなか、「1人4万円で一度きり」の減税では焼け石に水というのが実情だ。

 

総務省が24日発表した4月の全国消費者物価指数(2020年=100、生鮮食品を除く)は、前年同月比2・2%上昇の107・1となった。キャベツなど生鮮野菜や生鮮果物の上昇が目立つ。

 

岸田首相は20日の自民党役員会で「減税の恩恵を実感いただくことが重要だ。集中的な広報など発信を強めていく」と述べた。減税を政権浮揚につなげる狙いが露骨だ。

 

実際に「恩恵」を感じる世帯がどれだけあるだろうか。みずほリサーチ&テクノロジーズの試算によると、食料・エネルギーなどの価格上昇に伴う家計の負担増額は、2022年度が1世帯(2・9人)当たり約10万7625円、23年度が9万4852円、そして24年度が10万5506円にのぼる。負担増額は3年で31万円を超える。

 

一方、減税額は所得税と住民税で1人計4万円で、3人家族の場合、12万円となる。もちろん減税はあったほうがいいのだが、1年分の負担増をカバーするのがやっとだ。

 

岸田政権は「物価を上回る所得の増加」を掲げている。大企業では賃上げが進むが、厚労省が23日発表した23年度の毎月勤労統計調査(確報、従業員5人以上)によると、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金の月平均は前年度比2・2%減だった。マイナスは2年連続で、リーマン・ショックが起きた08年度と同水準の落ち込みだ。

 

岸田政権が恩着せがましい態度に出れば出るほど、国民の神経は逆なでされそうだ。