この時期は木々もどんどん枝葉を伸ばし

新緑の青葉も日々色を濃くして逞しく成長している

 

草も負けじと空き地を俄に緑の森に変え

線路脇には葛がそこかしこで茂みをつくり

その先端がどこに行こうかと頭をもたげている

 

植物に人間のような脳はないはずだが

その蔓の先端は、さらに成長しようと懸命に考えているように見える

 

バクテリアでもウイルスでも、もちろんあらゆる種の生物でも

常に増殖し繁栄しようと機会を狙っている

 

それを思えば、人間の向上心とか上昇志向とかいうのも大して高等なものではなく

それが本能でも煩悩でもいいが、むしろ原始的なものではないかと考える

 

夢に希望に、もっともっとか

学歴作って、キャリア作って

 

金稼いでマウントとってそれを勝利者と言うのだろうが

勝つ方がいいに決まってるが大して高等なことじゃない

 

偉そうにすんなよ

みっともない

 

自分の長所は何だと思いますか

「向上心」かな、 やめてくれ!

 

反吐が出る

 

向上したくてもできない壁に

すぐぶち当たるさ

 

恥ずかしい

 

そうじゃなくて、高等かどうかは知らないが

「好奇心」というのが、似て非なるもののような気がする

 

「転落」も「堕落」も「絶望」も、「地獄」にも興味がある

知らなきゃ知らないで、どんなもんか体験してみたいじゃないか

 

その感覚こそが他の生物にない人間特有の

高等な部分とは言えないか?

 

「人間失格」「堕落論」「変身」・・

これだよ

 

もっとも俺は

そう言った好奇心はもう十二分に堪能したがね

 

げっぷが出るほどにな