座禅もしなければ瞑想もしない
歩くこともしばらく忘れていた
ビールも飲めば
せんべい菓子や菓子パンもやたら食っていた
これで悟りがどうの宇宙エネルギーがどうの素粒子がどうのと
休むに似た妄想だけは元気なのだから笑わせる
今日、何故かは知らないが思いたった
スマホで音楽でも聴きながら久しぶりに歩いてみようかと
聴く音楽は今までのビートルズやカーペンターズや
ビリージョエルはやめて、上條恒彦の「誰かが風のなかで」を繰り返し聴いた
帽子を三度笠のように深めに被り目線を半眼にすると
「あっしには関わりのないことでござんす」と歩き出した
そうだ
俺はスナフキンだが、その前は木枯らし紋次郎だった
その前は拝一刀だったし、破れ傘刀舟だったこともある
久しぶりの散歩コースには菜の花が咲き誇り、蓮華すら咲いていた
紅梅、白梅は言うに及ばす満開、虫たちの喜びも伝わってきた
世の中はすでに
自分が考えているよりもはるかに春たけなわだった
二時間はあっという間に過ぎていった