鳥のように飛ぶことは地にへばりついた人間には

長い間の夢だった

 

彼らは地上の天敵からは逃れたが

今度は重力という敵と戦っている

 

車だって加速するに従って

新たなリスクが増していく

 

ジェット機なら高く早く飛べる分

ひらひらと地上に降りることなどできやしない

 

進歩にはそれに見合うリスクが生まれる

 

しかし、そんなものはものともしない

夢への如何ともし難い衝動とはそうしたものだ

 

飛ぶ、跳ぶ、翔ぶ!

 

安心、安全、安定で、亀のように生きるのも人間なら

無知や無謀で人生を棒にふるのも人間だ

 

大概は群れから離れた未熟者や跳ねっ返りが

狩られる

 

だが稀にそれで生き延びたやつが

犯したリスクに見合う輝く人生を手にする

 

さらに世の中に変化をもたらし

世の中を面白くする

 

そうやって人間はここまでやって来た

その説明し難い夢への衝動によって・・

 

その衝動を愚かしく忌むべきものとしてきたのも

また同じ人間だ

 

人間の可能性は誰でも無限だとは今は誰も思ってないし

少子化による過剰な干渉と過保護はあっても

彼らや彼女たちの「若さ」への期待やエールはない

 

この失われた三十数年の間に経済のみならず

「若さ」の価値も暴落し、人心もまたしょぼくれて劣化したが

そのチャートは日経平均に比例してきたという仮説はどうだ?

 

国や国民が貧乏になり高齢化しリベラル化が進み

ITやら何やらで文明が高度化する一方で

何もかもグローバル化のもとでより複雑化した

 

大衆は果てしなく家畜化が進行し

「飛ぶ、跳ぶ、翔ぶ」はいつの間にかスーパーエリートの特権となった

 

「飛んだ人間、跳んだ人間、翔んだ人間」との差が

歴然となった

 

飛ぶ、跳ぶ、翔ぶ!

それは人間の根源的な衝動のはずだ

 

取り戻す!

少なくとも、この俺はな