それは初めて義家に泊まった時の事。
あてがわれた寝室にはシャワーと洗面所がついていた。
その時私はまだ義家でのルールを全く知らなかった。
部屋のドアを閉めるとダンナがすかさずヒソヒソ声でこう言った。
「シャワー使ったらシャワーブースのガラスを渇いたタオルで拭いておいて!」
「水滴が残って跡になると、母さん機嫌悪くなるから」
これから一週間滞在するのに、
毎日、いや毎回使う度に水滴を残さないように拭かなくてはならない。
そう思うと憂鬱になった。
だいたい毎日私達の寝室に入って来て、
チェックするということか?
そしてシャワーを浴びて髪を乾かしていると、
ダンナが追い打ちをかけるように付け加えてきた。
「髪乾かしたら、床に落ちた髪の毛拾っといてね。」
「それと排水溝の髪の毛も取っておいて。」
「見つかると母さんの機嫌が悪くなるから。」
どんだけ神経質なんだ、ボス。
つーか、ダンナもボスに気遣い過ぎなんじゃ?
まぁ、よその家なんで、
テキトーに掃除はしておいた。
しかし驚いたのはそれだけではなかった。
翌朝起きるとダンナが、
「さぁ、ベッドをきれいに片づけるゾ!」
と私に手伝うように促してきた。
シーツをきれいに直して、枕を元の位置に戻し、
上掛けを掛けようとしたその時。
「これじゃシーツがダメだ!」
「ベッドから垂れないように、皺を無くしてピッと張って、」
「マットレスの下に入れなくちゃ!」
はぁ?
ホテルのルームメイドじゃないっつーの!
だいたいこのベッドで寝るのは私だし、
朝になったらまたグチャグチャになるのに!!
しかし、これが義家でのしきたりらしい。
人に家の中を見せびらかしたい義母にとって、
たとえ客室であろうがシーツがピンと張っている事は
とても重要なのだ。
「子供の頃からシーツのことは厳しかったんだ。」
というダンナ。
「学校に行く前でもきちんとするまで、」
「何度でもやり直しさせられたよ。」
・・・・・・・。
どんだけシーツ大事なんだ、ボス?
でも、自分で直してるの見たことないな。
いつも義父がやってるような気が?!今日もポチッと応援してってネ!!
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