当時私とダンナが住んでいたマンションから300mくらい所に、桜並木の歩道がある。



どういうわけか、その年の開花は遅れていた。



私達が目指しているイタリアンレストランも、その桜並木の歩道を通って行く。



なんとか義母を説得しマンションを出て、いざレストランへ!



私とダンナの後ろを義母と義父がだらだらと歩いてくる。



あまりにもゆっくりと歩く為、20mほど距離が開いてしまった。



「ちょっと待ってようか。」



と言うダンナ。



やっと追いついたかと思うと、今度はダンナに文句を言い始める義母。



「お父さんと私ね、毎朝6時にこの道歩いて桜を見に行ってるのよ。」



「昨日の朝だって行ったのよ?」



「なのにぜ~んぜん咲いてないし。」



「あなたが言った開花のタイミングに合わせて来たのに。」



「咲かなかったらどうすんの?!



またも口げんか勃発。



「そんなの言われても知らないよ!」



「毎年違うんだから!!」



「気候にも左右されるし。」



「だいたいなんで文句ばっかりで、楽しもうとしないんだよ!むかっ



ゴチャゴチャと言い争いをしてるうちに桜並木の歩道に来た。



なんと桜が満開 桜 ではないか!



「ちょっと母さん!見てごらんよ。」



「桜!桜が咲いてるよ!!」



そう言って振り返ると、義母が口をあんぐり開けて立ち尽くしていた。



目にいっぱい涙をためて。



初めて見る桜の美しさに感動したのか、



対照的な自分の醜い心に気付かされたのか?



鬼の目にも涙 ドクロ



それからようやく機嫌を直した義母と、夕飯にありつけてホッとする義父。



長い、長い一日がこうして終わった。



今回は桜に救われた、と言わざるを得ない。



・・・・・・・汗










揉めたわりには沢山食べてたな、義母。



次回のドライブは私抜きでお願いします。




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