きほんひとりというチャンネルがある。

 

61歳の無職の独身男性が後期高齢の母親と実家で暮らしており、

施設から一時帰宅する障害を持つ弟が時々登場している。

 

就職経験はあるものの長くは続かず、ひとりさんの無職歴は長いらしい。

 

 

食器を箸で引きずり回すとか、

近所へおすそ分けする皿に使用中の箸を突っ込むとか、

食べ物をかっ込む時の目がビー玉のようで怖いとか、

スーパーで買った商品の値段をいちいち覚えすぎじゃないかとか、

気になることは多々あるが、

 

兄弟に二人も障害者がいる人生は凡人の私の想像を超えているはずなので飛ばして先へ急ぐ。

 

というわけで、ひとりさんが部屋を掃除する動画を見て思ったことでも書く。

 

 

「さぁ、掃除やっていくゾウ!」

 

片足を後ろへ跳ね上げながら座椅子を運ぶひとりさん。

 

掃除の〆はカメラ目線で「終わったよ〜ん」だ。

 

 

やっていくゾウ!が、

片足の後ろ跳ね上げが、

よ〜んが、

私を半殺しにしてくる。

 

若作りするのは構わない。構わないが、

するなら徹底的にやってもらわないと困る。

こっちもバカじゃないんでねと詰め寄るにはひとりさんは歳を取りすぎている。

 

若作りの61歳をつねるのは弱い者イジメをしているようで気が引ける。

 

 

彼の自意識は若かりし頃の小沢健二かもしれないが、

残念ながら株主優待に振り回される桐谷さんと同ジャンルだ。

 

 

ひとりさんは常にせわしない。

せわしないから絵にならない。

かっこいい顔をしていると思うが、61歳。

見事に生き様がにじみ出てしまっているからなにをしても絵にならない。

 

桐谷さんが嫌われないのは自意識が間違っていないからだ。

小沢健二の曲なんぞ彼の脳内には流れていない。

無だ。

あの人は邪念がない。

必死に自転車を漕いでいる。

 

ひとりさんは違う。

61にもなって若々しい自意識で溢れている。

これを思春期真っ只中と捉えればひとりさんもピュアなおじいになるわけだが、

めんどくさいので〆へ急ぐ。

 

 

ひとりさんのアカウントの画像やサムネはカメラから目線をそらしたものが多い。

 

ナルシストの特徴だ。

 

若い時から引きずり続けて化石化した高齢者のナルシシズム。

 

中村吉右衛門ごはんチャンネル、違った、みえこごはんチャンネルといい、きほんひとりといい、

人との関わりが薄いが故、すべき更新がされないまま高齢になってしまった人はおっかないけど面白い。

 

 

最後に、

「きほんひとり」というタイトルにひとりさんの全てが出ていると思う。

プライドが高く、我が強く、正直じゃない。

 

基本ひとりだ?

基本もクソもねぇだろ、いつも一人だろ、常に一人だろ、要は乃万だろ、敢えて一人じゃなく仕方なく一人だろと詰めるつもりはない。61歳。労りたい。

 

ひとりさんは結婚を諦めていないようだ。

己の老後対策に嫁が欲しいらしい。

昭和で止まった男、きほんひとり。