働くおっさん人形に出演していた中野正次さんの曲、

「生き地獄」はとっ散らかっている。

 

大量の音符が全臓器を上下に左右に飛び交うような、

三半規管がぶっ殺されるなんとも言えない気分に襲われるが、

越路吹雪さんがカバーした「不良少年(ろくでなし)」を彷彿とさせる、なかなか洒落こいた曲なんである。

 

歌詞もいい。

 

乃万哲一さんのひねり散らかした死ぬほどポエミーなポエムで胸焼けしている人に、

芯を食ったシンプルでみずみずしい中野さんの歌詞は一服の清涼剤となるだろう。

 

 

自作の機材を握りしめながら歌う中野さんと、

半永久に踊り乱れる変なおずさん達で曲どころじゃないし、

そもそもとっ散らかっているわけだが、

生き地獄はプロが作れば幅広く化けると思う。

 

マダム達がシャンソニエで歌い込むかもしれないし、

中田ヤスタカ先生に丸投げすれば、全地域を焚き付けるかもしれない。

 

が、中野さんはこだわりが強そうだからコードひとつ変えてもヘソを曲げそうだ。

頑なさがもったいない。

 

常に自分に誠実な感じが「月曜から夜ふかし」に出ていた桐谷広人さんに似ている。

 

桐谷さんとは、株主優待消費に取り憑かれて日々自転車を鬼乗りする面食いおじいさんだ。

 

 

「生き地獄(烏バージョン)」 詞曲:中野正次


あの世へ行ってみませんか 

どうせこの世は生き地獄  

苦しみだらけに 悩みだらけ 

受験地獄に 交通地獄  

生き地獄  生き地獄

 

 あの世へ行ってみましたが 

どうせあの世も死に地獄  

退屈だらけに 暇だらけ 

とてもやりきれない所です  

死に地獄  死に地獄 

パワハラ リストラ 未払いでオケラ(螻蛄)  

あり地獄  あり地獄 

 

この世へ逃げて帰りました 

どうせ地獄に生きるなら  

危険だらけに 嘘だらけ 

失恋 失業 失望 だけど  

夢は有る  夢がある 

道は無い 地図もない   

 

いちかばちか かけてみよう  

夢は有る 夢がある 

道は無い 地図もない   

いちかばちか かけてみよう