YouTubeを観ていると、10数年も前の動画が突然おすすめに表示される時がある。
のような、カメラに収めただけのなんの企みもない素朴な動画ばかりで見入ってしまう。
それに対し、ドゥワドゥワなBGMといい、
大量のテロップといい、
くしゃくしゃな自撮り笑顔といい、
乃万哲一さんの動画は作為的なようで、あれもあれで純粋だった。
乃万さんは懸命になにかを隠し、取り繕っていたのかもしれないが、
施したモザイクを余裕で貫通する強烈な真実が乃万動画には堂々と横たわっていた。
なにこの親。
なにこの食卓。
なにこの前髪。
視聴者はプンプンスカスカに怒りながらも乃万動画に夢中だった。
私なんて未だに依存しており、定期的に昔のテツ動画をぶち込まないといられない。
あの頃のテツをキメては今のテツに嘆いている。
よお、越後屋、相変わらずバカか?
とテツのチャンネルを訪ねても、
そこにいるのは引きつった笑顔でバイクをピカピカにするなにやってんのかよくわかんないおじさんだ。
なにも語らない。
なにも食わない。
横に紀江もいない。
テツ、そうじゃない。
テツにはどこ探しても出会えない凄いカミさんがいて、息子が二人もいて勝ち組なんだろ。
俺はこんなにパンツ持ってんだぞ、こんなに持ってんだぞ。
見ろはいじぃ、視聴者、羨ましいかこの野郎!
とはためくパンツ万国旗の下で仁王立ちしていたテツはどこにいった。
痛々しいYouTuberは山ほどいる。
でも何故だろう。
好奇心が続かない。
嘲笑と同情と理解がちょうどいいバランスに湧いて相殺し合う感じ。
自分の中で深まらない。
乃万さんは違う。そうじゃない。