それから更に40分が経過した








担当の看護師が
「そろそろ手術室に向かいますね」







え?
一緒に行ってもいいんですか?








前回とは違いコロナが大暴走しているので
病室の前で見送りかと思った









手術室の前まで一緒でいいと言われた






オトちゃんが出てきた








髭も剃ってもらったようで
血で汚れた枕なども全て綺麗になっていた






目は閉じていたので
声をかけようか迷っていたけれど







少しでも励みになればと
小さな声で話しかけた



オトちゃんは
またきょとんとしたような顔で








精一杯まぶたを開けて
「まだいてくれたの?」







そういった







「ずっと居るよ。待ってるよ。」
そう答えた。







エレベーターに乗り込み
オトちゃんは
そっと手を伸ばしてきた









いつ以来だろう
手を繋いだ。








少し小さくなった冷たい手を
しっかりと握り返し










手術室の前に到着した










「気持ち悪いんだ……」
大丈夫楽になれるからと
もう一度ぎゅっと手を握った









5時間後。








医師からの説明を受けた
頭に入っていた、ドレーンが




頭の中の飛び出ている骨の辺り
もしくは
内側の皮膚の辺りを擦って居たようで








内部からの出血ではなかったようなので
今は意識もはっきりしてきています。









「HCUですがこのあと顔も見れますよ」

良かった…
本当に良かった…






頑張ってくれたね……








涙は見せないと決めて
オトちゃんの元に。








目は怖いくらいギョロギョロさせていた
呂律はあまり回らない
それが嫌なのか





大きな声で無理やり話そうとする








だけど
手術前よりも意識はハッキリしていた。










でも…悔しいと言って
こんなはずじゃないのにと
涙浮かべる姿が苦しかった。





2人分の指輪…いつも側に居るよ。