先週は立て込んだ身辺状況といささか体調低調だったため、なかなか目当ての店の新規オープンに足を運べずにジタバタした心持ちで過ごしていたのだが、ようやく行くことが叶った。
とか言ってその店の什器の搬入から棚出しまでを日毎チェックしてはいたのだが。
棚のレイアウトがほぼ定まったのを見届けてはいたのだが、照明に手を入れてから本格的にオープンするとの主人の宣言だったので、それに当方、体も疲れてもいたりして足が遠のいていた。しかしながら週末、帰り道にふらりと訪れるてみると、既に外の均一棚の前には顔の見知った常連さんらが文字どおり鈴なりになっているのでそのなかへひらりとまぎれ込んだ。
外の棚を無言で眺めて店内へとフェード・イン。
入口付近をひと睨みしてから目力を即座に望遠仕様に調整して遠場の棚に目をやる。

おやまあ、一見すると隙だらけのように見える棚なのだが、実はこれ、これこそが一分の隙もないというような、玄人筋をウンウンと唸らせるようなシブい本ばかりがとりとめもなく無造作に挿してある。
ああ、やってるな、やってくれてるよ、こんなラインナップで店転がしてくるだなんてさすがだよ、まったく憎らしいほどさりげない店づくりしやがって、と胸の内で一人ごちた次第である。

…こんなに恰好いい棚にはお目にかかったことは、ない、まあしいて言えば全盛期の…なぞと瞑目する。


何冊か目に付いた句集を差し出すと、向後は小説を極力置かず俳句関連等を積極的に店に置くのだという主人のつぶやきを聞いてしまい、それではまたしても止める流れになりつつある古本癖から逃れられなくなりそうだぞ、と頭の中で誰かが野太い声で叫ぶ。


それからつらつらと棚を見やった後に外に出でると、均一棚の前にいる御仁が主人を褒めちぎっている。
「いやあそれにしてもすごい品揃えですね、あなたにしかできない品揃えですよ。ああなんとなくでも中央線沿線にあった今はなき店を彷彿とさせますね」と大きく息を吐く。

「ああ、あの店ですね。神田行く前にちょいと覗いてくかって途中下車したらいい本ばかりで有り金ぜんぶあの店で使い果たして結局神田に行かずに退散しちまうようなあの店ね」なぞとひとしきり御仁と主人の話にまぎれて談笑していたが、あとで買おうと思っていた尾崎喜八詩集を御仁に抜かれたのを潮に、それぞれに挨拶を交わして背を向けた。







その場での戦利品。















句集三冊と小泉八雲なり。


このラフカディオ・ハーン/小泉八雲の訳者の平井呈一氏はあの荒俣宏氏の師匠筋とのこと。














昨日の散歩の帰り道に咲いていたバラ。
























蜂もどこからかやって来た。

ここ二三日はすっかり夏めく日となっている。