十一月八日

顚落す水のかたまり瀧の中

(昭和二十一年)





「瀧」は夏の季語。華厳・那智・などの雄大な滝から、山道で目にする小滝まで、滝にはそれぞれの趣がある。滝壺付近に立てば肌にせまる涼しさを覚える。瀧が季語になったのは近代になってからのようである。




















虚子一日一句


星野立子 編
朝日文庫
昭和60年3月20日第1刷発行








神にませばまこと美はし那智の滝
高浜虚子

滝落ちて群青世界とどろけり
水原秋櫻子

滝の上に水現れて落ちにけり
後藤夜半

瀧落としたり落としたり落としたり
清崎敏郎

天日にせりあがりつつ滝落つる
上村占魚

瀧落ちて自在の水となりにけり
小林康治