いち | 浴室

いち

初めて彼の手が、わたしの体を張った時、こう思った






――――――気もち良いな







いや、‘上手いな’だったかもしれない

とにかく、何度もホントウの名前すら教えない、知らない相手と足を開いて腰を揺らす作業を重ねてきたわたしだったけれど、

初めて彼がわたしの体に触れた時に、何故かそう思った

それはまるで壊れ物を扱うかのように、彼がわたしの体に触れたからかもしれないし、偶然かも知れない

でもその‘気持ち良いな’と思った感情は、彼に何度触れられても変わらなかった

というよりむしろ、回数を重ねる毎に快感の度合いは増していったと思う

そしてわたしが初めて‘愛人さん’にイかされたのも、彼が初めてだった