わたし | 浴室

わたし

才能と可能性を見出してくれてどうもありがとう


でもね、わたしが「タダノヒト」だったら、


「タダノヒト」になったら、きっと幻滅するでしょう?


わたしが走ることを辞めて、もう疲れたなんて言ったら


きっとわたしの目の前から去るでしょう?



わたしは絶対的な存在が欲しい


少なくとも、わたしの前では完璧な人


わたしの絶対的な存在


言うこと全部聞かせてくれるような、わたしを幻滅させないで



いつの間にか


数年前まではわたしから見て


絶対的な存在だった人を、わたしが説得する立場になったりした


その人たちから相談されたり、労をねぎらったり


そんなことをする立場になったりした


正確にいうと、そんなわたしの絶対的な存在の人たちが


何を望んでいるのかがわかるようになった


何を言って欲しいのか、何を言えば納得してくれるのか


何を言えば、わたしが理解したと思ってくれるのか


何を言えば、彼らに満足を提供できるのか


そんなことが判るようになった



それを人は成長したというかもしれないけれど


でもわたしは、わたしの理解とか言葉とか


わたしなんかの存在に納得したり、喜んだり、そんな貴方たちの姿はいらない



いつまでも、わたしの「絶対的な存在」でいてほしい


わたしの存在なんて、意見なんて尊重しないで


いつまでもわたしの「絶対的な存在」としてわたしの中であり続けてよ



わたしを跪かせて、あなたのいうこと聞いていれば、絶対だって


そう思わせてよ、安心させてよ、簡単なことでしょう



わたしを幻滅させないで