6 | 浴室

わたしはわたしを不幸だとは思わない。

幸せの基準は自分で決める。

隣を見て幸せか否かなんて、そんな馬鹿馬鹿しいことはしない。

世界中の誰もが、わたしを不幸だと言ったとしても、わたしが幸せだと思うのならば、それで良い。

苦痛の中にしか、幸せは見つけられないのだから。



―――お気に入りのパンプスを履いて、家を出る。

昼の顔、夜の顔、愛人の顔、全てを完璧にこなせるわたしになりたい。

そんなわたしが好きだ。


「知らなくて良いことは、永遠に知らなくて良い」


そんな風に言われたとしても、知ってしまったのなら、そこからどう生きていくかが問題。


汚い欲望と虚無が渦巻く世界もわたしの世界の「一つ」

わたしはわたしをカスタマイズし続けて、わたしを好きになれるまで、わたしの憧れのその世界に行けるまで、決して諦めはしない。


わたしはわたし。


紛れもないないわたし、これがわたし。