黙ったまま | 浴室

黙ったまま

失うことには慣れているなんていいながら


わたしはいつでも縋ってしまう


依存しないように、大切にしないように


そうやってブレーキをかけることを覚えて


いつもどこかに逃げ場を探していた


いつ裏切られても、そんなのわたしの方がもっと裏切っているから、大したことないわ


そうやっていえるように、いつでもわたしは自分を裏切った


そうやってわたしはいつでも相手を裏切って、そうやっていつでもわたしはわたしを踏みにじった



何一つできない癖になんでもできるような顔をして


そうやって見せる術だけ身につけて、いつか誰かが見透かして


そんなわたしをひざまずかせてくれて、その後愛してくれる日を夢見てた



わたしが望んでいるのは大きな籠じゃなくて


わたしが望んでいるのは大きな囲いじゃなくて


いつまでもこんな風にぐるぐるとまわっているわたしを


半ば無理やりに連れ出してくれる人なのかもしれない



過呼吸になったとしてもそんなわたしをものともせずに


わたしを連れ出してくれて、泣かせてくれる人なのかもしれない



そう


してしまったら、もっと好きになってしまう気がして


そう


してしまったらあなたがわたしに満足する気がして


怖くて



わたしは


そう


できない



だから


そう


しない