追憶 | 浴室

追憶

初めて体を売ったのは、18の時。


新大久保駅。


わけもわからず抱かれた。



その時のわたしは処女という“設定”で、相手は酷くそれを喜んだ。


処女だから、フェラチオはできないという設定。


ああ、おかしい。




わたしはその時、男というものをよく知らなくて、愛する男に抱かれた後に、そうでもない男に、強姦されてから


その次の男だった。



何を考えてたのかよく判らないし、なんでそんなことができたのかよく判らないけれど


ことが終った後に手に入れた万札を眺めて、こんな簡単なことで金が手に入るんだと思ったことだけを覚えている



気持ち悪い男で、ゲームオタクみたいで、わたしをこんなに良い女を抱けるなんてと喜びながら


ひたすらわたしを弄った。



新大久保駅から、ホテルに入るまで、何人の男が振り向いただとか


俺とキミが一緒にいるなんて不思議だとか


そんなことばかり



全く濡れなくて、ローションを使われた覚えがある



勿論わたしは喘ぐなんてそんなことしないで


文字通りマグロで


ひたすら目を瞑って、男がイくのを待った



テレビでやってたエロチャンネルの声だけが響いて


なんだか滑稽なくらい、おかしくて


自分じゃないように思おう、自分じゃないんだ、ここにいるのは自分ではない


と、ひたすら思い込もうとして、愛撫の中に共通点を見つけようとして


今も昔もやっていることは変わらない




わたしの中に苦痛を受け入れる自分を創る


これが、わたしが体を売るときに決めたことだった