俺は準アナログ人間だそうだ。

デジタルでも無く、アナログでも無く、準デジタルでも無く

準アナログ人間。

別に世俗に疎い訳でも無く、

仕事には日々新しいものを自分なりに取り入れているつもりだが、

抜本的な考えが昭和なんだってよ。

でもね、それで良い。

俺が知っている格好良い人達は

浪花節が大好きで

身なりは洒脱だが、

自分のルールで生きていて

仕事を全力でやって

冗談が大好きな人達だ。

それを見て育った俺は、

腹を空かして貧乏していた俺は、

一回聞いてみた事がある。

「何で俺みてぇな何も無いガキにこんな飯喰わしてくれんすかね?」

「浩史、それは違うぞ。お前は男として一番大事なものを持っている。

それは、負けん気だ。ハングリー精神だ。やってやる。

今に見とけ。って顔をしているよ。

その顔を見ていると自分の昔を見ている様でとても懐かしい。

お前も金を持ったら、必ず、こうやってお腹空かした若い子が目の前に表れるよ。

その時にこうやって飯喰わせてやってくれな」

「はぁ、良く判らんですけど、約束ァしますよ」

「ドンドン食べろ。肉はエネルギーになるからな。遠慮せずに喰え、飲め」

「ほーい。酒は嫌いでーす」

今、考えると汗顔の至りだが、それが身になっているのかなと思う。


大事なモンって何だろう?

と日々、自問自答している。

それが時には意地だったり、矜持だったりする。

昔みたいに金が大事じゃ無いとはもう言わない。言えない。

俺は心底貧乏したから。

貧しいと云う事の本当の意味は、

腹を空かす事では無く、

それによって他者に対する思いやりが無くなる事が真の貧乏だと知ったから。

でもね、金ってな一番大事なモンじゃあ無ぇな。

一番大事なモンってな、こう、心の真ん中で譲れないモンなんじゃあないか。

マネージャーに

「山ちゃんは一番何が大事なの?」

と聞かれ

「あ?決まってんだろ。信念でしょうよ」

と答えた。

こ、こいつ、予想通り過ぎて

つっつつつつつまんねねねねねえぇぇぇぇ

って顔されたけどさ。

ま、だから準アナログなんて言われるんだろうなー。

まー、いーや、寝よ。

晩安。