【メモ】ネットワークの著作権 | ぬうむ

【メモ】ネットワークの著作権

最近は、ブログなどを使って誰にでも簡単に情報発信することができるようになったが、同時に他人の著作物の違法コピーが増えているという話もよく聞くようになった。音楽ソースの違法コピーなんかは古くから問題視され、コピーガード付きのCDが出されたり、単価を下げてダウンロードできたりと音楽著作権者の対応方法も時代にマッチしてきているが、文章のしかもネット上に公表されたものとなるとほとんどが自由に、簡単にコピーできてしまうのが現実ですね。
そこで、ネットワーク上で問題となる文章と写真(絵)についての著作権法の考え方について簡単にまとめてみた。


【保護される著作物とは】


まず何が著作権で保護されるものなのかを考えてみることにする。著作権法第2条は「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と規定しており、「創作的に表現」したものとしている。したがって、素人が書いたブログの記事でも創作的に表現したものは保護され、ケータイで気軽に撮って自分のサイトにアップした写真も同様に保護される。
しかし、それらの著作物が含んでいる「アイデア」や「情報」は著作権法により保護することはできない(特許をとってその保護を図ることはできる)。※この場合でも、小説のあらすじなどそれ自体が重要な著作物の要素となるものについては保護される。


ネットワーク上にアップロードされたものも含み、著作権法第10条では下記のものが保護の対象になるとしている。
・小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
・音楽の著作物
・舞踏又は無言劇の著作物
・絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
・建築の著作物
・地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
・映画の著作物
・写真の著作物
・プログラムの著作物


対象とならないものについても簡単に説明する。
(1)著作者の死後50年以上経ったもの
(2)法令、判決文等の公的機関が作成し国民全体で共有することが社会にとって必要であると考えられるもの(とはいえ、データベース作成・収集・編纂の際に創意工夫があるものは「集め方」、「並べ方」などが保護対象となり、省庁が出している白書、報告書なども保護対象となる)


【著作権法に違反したらどうなる】


著作権法第119条第1項 十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

違法なので、著作権法に定められた罰を受ける可能性がある。可能性があるというのは、著作権を侵害したから自動的に罰が与えられるのではなく、親告罪なので権利者が侵害されたことを訴えて初めて事件になるということ。もちろん、訴えられなくても違法行為であることには変わりがない。


【引用の条件】


ではネット上の著作物を全く利用できないかというとそうでもない。自分の意見を主張するための根拠として取り上げるときなどに他者の意見を「引用」することは、ネットに限らずいろいろな形で行われてきており、それらがすべて違法とは言えない。著作権法第32条第1項では、「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。」と規定している。つまり、一定の条件で「引用」することはできる。
※写真(絵)には、引用という考え方が当てはまらず、無断で他人の物を自分のブログなどに張り付けるのは違法となる。


○引用が認められるためのルール


(1)自分の意見、感想、研究のために必要不可欠であり、かつ引用する範囲が必要最小限であること
(2)自分の文章が主であり、引用される部分が従であること

   (=量的にも。自分の文章が5行で引用した文章が10行なんていうのはまったくダメ)
(3)自分の文章と、引用した部分が明確に区別できるようにすること
(4)引用した部分を勝手に改変しないこと(=もし間違いがあっても、そのまま引用すること)
(5)引用元の出典を明示すること
 ※以上は、過去の裁判例・法第48条などによる。


ちなみに、「引用」と「転載」を混同している人がいるが、両者は全く異なる。「引用」は、上記のルールを守っている限り、著作権者の承諾なく適法にできるが、「転載」は著作権者の承諾がない限りできない。つまり、「転載」とは、自分の文章とは関係なく、単に自分の文章中にコピー&ペーストすることをいう。



ネットワーク上の著作権関連の問題については、コピーが許される「私的使用」の範囲やリンクなどの問題もあるが、今回はブログやサイトに書く文章のことを中心に解説した。