【メモ】サラ金問題について2
前回の最後に書いたように借金を再度低利で計算しなおしたが、それでもなお、仕事や収入・財産などと比べて明らかに返済不能という状態であれば、最終的に破産宣告を受けざるを得ない。「破産宣告(同時廃止破産)~免責」を受ければ一件落着で、それまでの借金を返さなくてもいい、ということになる。
【破産宣告について】
住んでいるところを管轄する地方裁判所に申し立てをすることになる。費用は2~3万円程度でできるが、十分な知識がない方は極力弁護士に頼んだ方がいい。弁護士費用は、扶助が受けられなかったとしても弁護士と話し合い、分割なりで対応できる。
ただし、申し立てをすれば誰でもOKとはいかない。まずは、条件から(全部を詳しく書くことはできないが、以下特に大切なことを2点)。
(条件1)返済不能であること
一般には、借金の総額が200万円を超えているようなケースをさすが、それでも月収50万円もあると「返済不能とは言えない」。逆に、100万円程度の借金でも病気がちでよくても月10万円程度しか収入が見込めない場合は「返済不能である」と判断される可能性がある。
(条件2)隠している財産(プラス・マイナスともに)がないこと→財産目録、債権者一覧などを作る。
破産手続き中に、不動産・自動車等の動産(市場流通価値のある物。ただし、ローンで買って支払いが終わっていないものについては、ローン会社に引き渡すことになる)・株券・ゴルフ会員権・生命保険契約で解約するとそれなりの返金があるものなどはそれぞれ債権者に分配される。
必要書類がととのって、申し立てが裁判所に受理されると約1ケ月後に「審尋」つまり裁判官から口頭で説明を求められる。すでに出した書類と答えた内容が特におかしくなければ、その場で破産が決定する(同時廃止破産)。
なお、破産宣告を受けたということは、裁判所から「この人は債務超過ですよ~」と認められただけにすぎない。借金をなくすためには次の免責を受けることが必要になってくる。
【免責について】
さらに免責(=債務を免除しますという裁判所のお墨付き)を受けられれば借金のない身となるわけだが、これにも破産確定後1~2ケ月後に裁判所に行って「審尋」を受けることになる。また、以下のことをすると免責が受けられない。
一 債権者を害する目的で、破産財団(=申立てた時のすべての財産。プラス・マイナスとも)に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
二 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
三 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
四 浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
五 破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
六 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
七 虚偽の債権者名簿を提出したこと。
八 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
九 不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
十 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと
※以上は、破産法第252条に書かれたものを途中までコピーして元のカッコを消して、説明をカッコで加えただけだが、比較的分かりやすいと思う。結局のところ、申し立てをすれば誰でも無条件に借金から逃れられるというわけではないということを知っていただきたい。
さらに、税金、夫婦間の協力・扶助の義務、他人に故意過失で与えた不法行為による損害賠償請求権などの一定の債務は、破産宣告・免責を受けたからといって免除にはならない(同法第253条)。
【破産宣告を受けて困ること】
意外と困ることは少ない。
○転居が制限される(裁判所の許可が必要)
○手紙を自分で開封できなくなる
○一定期間ローンが組めなくなる(系列による。7~10年間程度)
などである。よく心配されている「会社をクビになる」ようなことは理論上はない。ただし、弁護士などの「士」業(ほかに司法書士、税理士、会社役員、後見人、保証人など)は資格を失うまたは退任事由になる。家族に知られたくないというのもちょっと無理があるかもしれない。
また、免責(または復権)後に制限が解かれるものが多い。
最初に借りてすぐ返すのならそれなりに使えると言ったのは、たとえば、旅行中に5~10万円位でとても気に入った物が見つかったが、現金がなく、キャッシュカードやクレジットカードは自宅に置いてきてしまったというような場合。店でも送ることができないと断られた場合、有名大手の貸金業者に行けば簡単に、2~3日後に一括返済という条件なら無利子で貸してくれることがある。こういうときに限っては借りるのが便利だ。ただし、すぐ返して「あなたなら、次は50万円まで無担保で貸せますよ」とか言われてもその気になって借りないこと。
本当はそういう場合でも借りない方がいいのだろうけれど、まぁ、衝動的に欲しくなるということはあるもので。