バウンティ・ハンター「ステファニー・プラム」
バウンティ・ハンターとは、西部劇で言うところの賞金稼ぎのこと。それの現代版女性バウンティ・ハンターを主人公にしたシリーズを紹介します。ハードボイルド硬派を自称しているわたしですが、こんなのも好きです。
主人公のステファニー・プラムはデビュー時には30才の独身(バツイチ)。勤めていた会社の関係でやむなくいとこのヴィニーのやっている保釈金立替業(※1)にバウンティ・ハンターとして働き始める。ところが、なかなかうまくいかず、ドタバタを繰り返すが、ひょんなことから事件を解決してしまう。小さいときからの知り合いの刑事モレリと超人的な先輩バウンティ・ハンターのレンジャーの2人に心惹かれるという設定は、元ロマンス小説作家としての面目躍如というところか。
途中から加わった元コールガールで体のでかい大食いルーラをはじめ、なんにでも首を突っこみたくなるメイザおばあちゃん、出もどりで実家に同居する姉ヴァレリーと自分が馬だと信じているその娘・・・登場人物もそれぞれが強烈な個性を持っていて、丁々発止の会話がおもしろい。
(※1:アメリカでは刑事事件で一度つかまった犯人が裁判の日まで保釈保証金を出せば自由になれる制度があるんですが、それを立て替えて支払い、その利ざやを利益とする業。しかし、裁判の日に出頭しないと立て替えた金がパーになるので、犯人を警察に連行または説得して出頭させる役割が必要となる。)
では、著者ジャネット・イヴァノヴィッチを紹介します。
1943年4月22日アメリカ、ニュージャージー州生まれ。大学を卒業の後1987年から1992年にかけて計12冊のロマンス小説を発表した後ミステリ作品を書き始める。ステファニー・プラム・シリーズ以外にも大金持ちのIT事業家マックス・ホルト・シリーズ(「気分はフルハウス」、「気分はフル回転」)や自動車整備工場の持ち主の娘として生まれ育ったバーニーを主人公としたシリーズ(「あたしはメトロガール」邦訳はこれのみ)もある。
【ステファニー・プラム・シリーズのタイトル(邦訳のみ)-全部文庫】
「私が愛したリボルバー」(One For the Money)扶桑社ミステリー
1994年イギリス推理作家協会(CWA)の新人賞
「あたしにしかできない職業」(Two For the Dougt)扶桑社ミステリー
1996年CWA賞のラスト・ラフ賞(ユーモア・ミステリ賞)
「モーおじさんの失踪」(Three to Get Deadly)扶桑社ミステリー
1997年CWA賞のシルヴァー・ダガー賞
「サリーは謎解き名人」(Four to Score)扶桑社ミステリー
「けちんぼフレッドを探せ!」(High Five)扶桑社ミステリー
「わしの息子はろくでなし」(Hot Six)扶桑社ミステリー
「快傑ムーンはご機嫌ななめ」(Seven Up)扶桑社ミステリー
「やっつけ仕事で八方ふさがり」(Hard Eight)扶桑社ミステリー
「九死に一生ハンター稼業」(To the Nines)扶桑社ミステリー
「カスに向かって撃て!」(Ten Big Ones)集英社文庫
「バスルームから気合いを込めて」(Eleven on top)集英社文庫
(原作は、現在14作目(「Fearless Fourteen」)まで来ている)