【メモ】離婚(2)慰謝料 | ぬうむ

【メモ】離婚(2)慰謝料

前回の離婚原因と離婚の方法に続いて離婚時によく問題になる「慰謝料」について簡単に基本的な部分を解説します。


《根拠》
民法第709条または第710条で故意(=わざと)、過失(=うっかり)で他人に損害をあたえたときはその賠償をしなければならないとしている。したがって、何の理由もなく双方が話し合いで離婚をしようとなった場合には慰謝料の発生原因がなく、当然のことながら請求権もない。ただし、婚姻の際に家事に専念するなどのために仕事をやめた妻(または夫)に復職するまでの生活資金相当額を支払うべきであるという考えもある。また、法律で決められた理由がなくとも、双方の話し合いで取り決めをすることは有効。


慰謝料請求権が発生する一般的なものには、一方の配偶者の不貞行為などがある(→前回の離婚原因)。

《相場はどのくらいか》
では、慰謝料はいくらとれるのかについて解説しよう。
相場は、あるようで無い。また、無いようである、といった感じ。無い、というのはそれぞれの原因の種類・程度、婚姻期間、夫婦の社会的地位・収入、その他離婚に至る経緯を総合して判断するから、理屈上は相場は無いという考え。これが基本であるが、過去の裁判(調停)上で取り決められた慰謝料の統計を見てこの辺が多い、ということはある程度言える。で、年収400~700万円位の一般的なサラリーマンの場合、150~250万円が多いようだ。

《時効》
慰謝料の請求にも当然のことながら時効の壁がある。結論から言うと3年。
起算点つまりいつから、とういことに少し注意してほしい。通常は、離婚のときからということになるが、調停や裁判をした結果離婚となったときは、調停成立または判決が確定したときから10年となる。

《財産分与》
これは慰謝料とは理屈上異なり、婚姻中に夫婦で得た財産を離婚の際に分けるという趣旨。したがって、離婚原因には因らない。一般的には、慰謝料と合わせていくら、と考えることもできるが、こちらの時効は2年だし、相場も異なってくる。

※財産分与の取り決め額=裁判所の統計(平成17年度分)
http://www.courts.go.jp/sihotokei/nenpo/pdf/DKAJ25~26.pdf

なお、夫婦で得た財産の名義がどちらか一方だったとしても清算の対象となる。逆に、婚姻前から持っていた独自の財産は対象にならない。


《その他》

・慰謝料は、他人の財産や精神などに損害を与えた場合の賠償なので、不貞が理由で離婚した場合、不貞の相手にも慰謝料の請求ができる。ただし、家事事件ではなく民事事件となる。相手が応じない場合は、相手の住んでいる簡易裁判所に調停の申し立てをする(等)になる。

・慰謝料をもらっても所得税の対象とはならないのが原則。ただし、税金逃れのための偽装離婚などの場合や、一般的な賠償額を相当超えている場合は対象となる。

では、「離婚」シリーズ最終回の(3)子の親権と養育費 をお楽しみに(^^;)。