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今回は多くの方が気になりながらも、意外と知らない「低血糖」について詳しくお話ししたいと思います。
低血糖とは？基本を理解しよう
低血糖とは、血液中のブドウ糖濃度（血糖値）が正常範囲以下に下がった状態のことを指します。一般的に血糖値が70mg/dL未満になると低血糖と診断されます。
私たちの体は通常、血糖値を約70～110mg/dLの範囲内に維持するよう調整しています。この範囲を下回ると、体はさまざまな形で警告信号を発します。
実は低血糖は、高血糖よりも急激に症状が現れ、対処が遅れると命に関わる危険な状態になることもあるのです。「高血糖は長く続くのがだめだけど、低血糖はすぐに危険な状態になる」と言われる理由がここにあります。
低血糖の症状～体からのSOSサイン～
低血糖になると、体はどのような反応を示すのでしょうか？症状は大きく分けて2つのタイプに分類できます。
初期症状（自律神経症状）
血糖値が下がり始めると、まず以下のような症状が現れます：
- 冷や汗が出る
- 動悸がする
- 手足が震える
- 顔が蒼白になる
- 異常な空腹感を感じる
- 不安感が強まる
これらの症状は、体が血糖値の低下に対して防衛反応を起こしているサインです。副腎からアドレナリンが放出され、体内に蓄積されているブドウ糖を放出しようとする働きによって起こります。
進行した症状（中枢神経症状）
初期症状に対処せず、さらに血糖値が下がると、脳へのブドウ糖供給が不足し、より深刻な症状が現れます：
- めまいや強い疲労感
- 頭痛
- 集中力の低下
- 生あくびが出る
- 話し方が不明瞭になる
- 視界がぼやける
- 異常な行動（酩酊状態のような）
- けいれん発作
- 意識障害や昏睡
特に注意が必要なのは、長年糖尿病を患っている方や頻繁に低血糖を経験している方の中には、初期症状を自覚できなくなり、いきなり意識障害などの重篤な症状が現れる「無自覚性低血糖」を起こすケースがあることです。
低血糖の原因～なぜ起こるのか？～
低血糖が起こる原因は大きく分けて2つあります。
1. 糖尿病治療に関連する原因
糖尿病の治療中の方に最も多く見られる低血糖の原因には以下のようなものがあります：
- インスリン注射や血糖降下薬の量が多すぎる
- 薬を服用した後に食事が遅れた、または食事量が少なかった
- 予想以上に運動量が多かった
- 空腹時に激しい運動を行った
2. その他の原因
糖尿病治療以外にも、低血糖を引き起こす原因があります：
- アルコールの過剰摂取
- 肝臓の機能障害（ウイルス性肝炎、肝硬変、肝臓がんなど）
- ホルモンバランスの乱れ（副腎皮質ホルモンの欠乏など）
- 膵臓のインスリン産生腫瘍（インスリノーマ）
- 一部の肥満外科手術後
また、特定の糖類（果糖やガラクトース）やアミノ酸（ロイシン）の代謝障害がある方は、これらの物質を含む食物を摂取した後に低血糖が生じることもあります。
低血糖と高血糖の違い
低血糖と高血糖は、どちらも血糖値の異常ですが、その性質や危険性は大きく異なります。
高血糖の特徴
高血糖は血糖値が高い状態が続くことで、以下のような特徴があります：
- 空腹時血糖値が110mg/dL以上、または食後2時間の血糖値が140mg/dL以上
- 症状：のどの渇き、頻尿、体重減少、疲労感など
- 長期間続くと、動脈硬化や糖尿病の合併症（神経障害、網膜症、腎症など）のリスクが高まる
- 症状の進行が比較的緩やか
低血糖の特徴
一方、低血糖には以下のような特徴があります：
- 血糖値が70mg/dL未満
- 症状が急激に現れる
- 対処が遅れると意識障害やけいれんなど命に関わる状態になることも
- 即時の対応が必要
高血糖は長期的な健康リスクをもたらす一方で、低血糖は短期的に生命を脅かす危険性があります。どちらも適切な管理と対処が重要です。
低血糖になったときの対処法
低血糖の症状を感じたら、すぐに対処することが重要です。
即時対応
- ブドウ糖（10g）、ブドウ糖を含む清涼飲料水（150〜200mL）、または砂糖（20g）のいずれかを摂取する
- 安静にして様子を見る
- 15分経っても症状が改善しない場合は、再度同じものを摂取する
車の運転中に低血糖症状を感じたら、すぐに車を安全な場所に停めて対処しましょう。
注意点
- α-グルコシダーゼ阻害薬を服用している場合は、砂糖ではなくブドウ糖を摂取する必要があります（この薬は砂糖からブドウ糖への分解を遅らせる作用があるため）
- 低血糖を恐れるあまり自己判断で薬の量を調整したり中止したりしないようにしましょう
- 低血糖が起きた場合は必ず主治医に報告しましょう
低血糖を予防するために
低血糖を予防するためには、日常生活でいくつかの点に注意することが大切です。
日常生活での注意点
- 規則正しい食事を心がける
- 食事の量や時間を極端に変えない
- 運動をする際は、事前に軽い食事や間食を摂る
- アルコールを過剰に摂取しない
- 外出時はブドウ糖や砂糖を携帯する
糖尿病治療中の方へ
- 主治医の指示通りに薬を服用する
- 血糖値を定期的に測定する
- 低血糖の症状や対処法を家族や周囲の人にも知らせておく
- 低血糖を起こしやすい状況（空腹時の運動など）を把握し、対策を講じる
まとめ～低血糖を正しく理解し、適切に対処しよう～
低血糖は、血糖値が正常範囲以下に下がった状態で、冷や汗や動悸といった初期症状から、重症化すると意識障害やけいれんなどの命に関わる症状を引き起こす可能性があります。
糖尿病治療中の方だけでなく、さまざまな原因で低血糖になることがあるため、症状や対処法を正しく理解しておくことが大切です。
低血糖の症状を感じたら、すぐにブドウ糖や砂糖を摂取し、安静にして様子を見ましょう。症状が改善しない場合は、再度糖分を摂取し、必要に応じて医療機関を受診してください。
日常生活では規則正しい食事や適度な運動を心がけ、糖尿病治療中の方は主治医の指示に従い、定期的な血糖値の測定を行いましょう。
低血糖と高血糖、どちらも健康に大きな影響を与える可能性がありますが、正しい知識と適切な対処で、健やかな毎日を送ることができます。皆さんの健康な生活のために、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。
何か質問や不安なことがあれば、ぜひコメント欄でお聞かせください。一緒に健康について考えていきましょう。
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