感動の再会4 呪いの石 | 男は独り道を行く

男は独り道を行く

誰も旅の途中

最も標高の高い場所ということは、ひたすら下る。
登ったり、下ったりして酷使してきた足腰にはこたえる。
登りは足さえ出せば進むが、下りは踏ん張らなければならない。
いや、踏ん張らずに転落する手もあるが、俺は選ばない。
延々と下って行く。
こんなに下ったっけ?
やはり初めての時は歩くのに必死でよくは覚えていない。
どうせこれしか道が無い。
不安になりつつ下って行くと道が見える。

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いい景色だ。
この風景は記憶がある。
道は合っている。
ここで左右に分かれる。
記憶はあるので右へ。
すると、何処からか女性の声がする。
「Excuse me!」
普段ならじっくり、穴が開くほどじっくり見る。w
が、そうせず。
南米系だろうか。
どうも左に行ってしまったようだ。
確かにわかりにくい道である。
この先も。
方向を指示して先に行かせた。
というのも、いくら女性でも外人さんは手足が長く、ナチュラルなパワーも違う。
実際、かなり速い。
気合を入れれば絶対に負けないが、そのつもりは無いので。
いくつか分かれ道がある。
その部分ま止まって待っている。w
山道に入り、標高400mまで下る。
そこからは再び険しい登り。
12番焼山寺は標高700m。
駐車場すら標高665m。
ということは、そこまで登る。
延々と踏ん張って下ってきた足腰に、この登りは結構キツイ。
が、道の記憶はある。
それなりにパワーセーブしながら登る。
その前をグングン行く南米女性。
付かず離れずのいいペース。
が、ここでトラブル発生!
右脚の腿をつってしまった。
それもこの場所、この段。
前回もこの段の、この石を踏んで踏ん張った瞬間に同じようになった。
こいつ、呪いの石か?
こんなところに助けなんか来ない。
なんとかせねば。
ここで荷物をおろし、給水と捕食。
そしてストレッチ。
確かに、発汗より給水の方が遥かに少ない。
脚がつるなんてのは柔道をやっていたらよくあったこと。
おかげで冷静に対処できた。
治まるまで待ってから再出発。
でもまたやりそうなので怖い。
ペースをもう少し落とし、ここで取った策は
“ ナンバ歩き ”
ミナミを歩き回るのではない。
右手と右足を同時、左手と左足を同時に出す、日本古来の歩き方。
古武術研究家の甲野善紀氏によって広く紹介された方法である。
本当にこれが効果あるかは知らんが、実は普段から階段を登る時にはやっている。
なので、違和感は全くない。

歩き始めて、もう誰にも合わないと思っていた。
が、木陰に先ほどの南米女性のものではないザックが見えた。

(よこ・ω・づな)