輪にする、そして祈りを込めて 引田駅~大坂峠途中 | 男は独り道を行く

男は独り道を行く

誰も旅の途中

先ほど車で来た道をしばらく逆に進むことになる。
なので、景色がわかっている。
どの建物の時点で駅から何キロとかも。

それでもちょくちょくお遍路シールは脇道を指示。
もちろんそちらを歩くようにする。
そちらを歩きながら出会う近隣住民の方へあいさつ。
声をかけてくださる方がおり、耳を傾ける。
すると、この時期の大阪峠はそろそろマムシが出るとのこと。
雨の心配もあるから車道の方が安全ではないかとのアドバイス。
正直、この日の道はまだ決めていない。

A:大阪峠を超え、3番金泉寺経由で1番霊山寺ルート

B:大阪峠を途中まで行き、ベタノ谷の車の道を通って1番霊山寺ルート

マムシの話を聞いてBに決めた。
登山靴とはいえ、もうちょっと上の部分をマムシに噛まれたら怖い。
ひとり毒マムシデスマッチなんかやっている場合ではない。
ポイズン澤田選手でさえ死にかけたのに。
白装束と金剛杖をリアルに使うわけにはいかない。

少し歩くとまた呼び止められた。
少し前を他の遍路が歩いている。
その人は遍路シールを無視して車道に向かった。
それを見て俺を呼び止めてくれたようだ。
要は、近道指南。
遍路シールの道なんやが、車道を延々と歩くより何倍も早いらしい。
地図もあるしシールもあるんやが、途中まで案内してもらった。
これがまた、
山道。
昨日同様に尺取虫や毛虫。
たまらんな・・・。
マムシにやられたらたまらんので、金剛杖を駆使して道を探りながら歩く。
土の道なんで足にはやさしいんやけどね。

少し登ってゆくと車道にぶつかる。
ここでどうするか迷う。
遍路道の案内通りこのまま山道を行くか、
あるいは遠回りでもここから車道を歩くか。
結構悩んだ。
山道は近いし足にやさしい。
でも、尺取虫や毛虫、場合によってはマムシが出てくる。
車道は一見安全。
でも、車という別の意味での危険性と、遠回りになる。

悩んでいると誰かが山道を登ってきた。


(よこ・ω・づな)