『木綿のハンカチーフ』も
『卒業』も
都市化する近代社会へのアンチテーゼ
そもそも芸術は、時代に対する反抗。何かに対する反抗から生まれる事が多い。
そこで、昭和50年リリースの『木綿のハンカチーフ』と、ギリギリで「昭和59年度」である昭和60年2月リリースの『卒業』を比べてみます。
私はこの2曲は、若者のお別れソングとして昭和50年代の最初と最後を飾る曲だと、私は思っています。
太田裕美さんに始まった昭和50年代の旅立ちソングは、斉藤由貴さんの『卒業』でフイナーレを迎えます。
昭和50年代の始点と終点にリリースされた両曲の共通点として.共に歌詞の中にいかがわしい横文字が一切なく、日本語だけで終始しているという天が挙げられます。
歌詞も共に、五七調に近い。
さらに…。
昭和50年代の始点と終点にリリースされた両曲の共通点として挙げられるのは…。
奇しくも共に、「その男性が故郷を離れて、地方から都会(東京)に旅立つ」というストーリーなのです。
これは何かの暗示ではないでしょうか。
共に、
「彼氏が故郷を離れて、
地方から都会(東京)に旅立つ」
というストーリー
つまり、「都会に旅立つ恋人との別離」という話にカコつけているけど、本心は…。
「日本的な伝統をまだ残している地方も、徐々に東京ナイズされていく」
という、日本民族の危機感からの叫び声。と言えないでしょうか。
それを、恋の歌に仮託しているのではないでしょうか。