米軍勝利に貢献した
山本五十六を礼賛するのは知的怠慢
帝国海軍を指揮した山本五十六や南雲忠一、栗田健男、米内光政といった官僚達は、帝国海軍を汚したのです。
明治時代の日本海軍と
昭和の日本海軍は 全く別物
海軍は日本海海戦から大東亜戦争に至るまでの間、第一次世界大戦で艦隊を地中海に派遣していますが、それ以外は基本的にはほとんど実戦をする事がなかった。
その間に、明治時代の若々しい希望に満ちた躍動感のある海軍ではなく、上層部が官僚化して「文」が「武」の上に来て組織が硬直したのだと思います。
下に非常に厳しく上に非常に甘い、自己保身がまかり通るお役所組織になってしまった。
「海軍のメンツ」を
だから大東亜戦争において、その海軍上層部の自己保身、官僚的な事なかれ主義、情実人事、そういったモノが国全体の利益を損ねて大日本帝国を滅ぼしてしまった。
その海軍上層部の「敗戦責任」を明確にしなければ、戦没者は浮かばれない。
譲り合う様に責任は回避する
その一つが特攻。
海軍兵学校のモットーは「指揮官先頭」ですが、海軍兵学校の方と言うのは、全特攻戦死者の5%位。
そのわずかな中でも本当に特攻に行かれた方達には日本人としては最大限の敬意を捧げなければいけませんが、ここでは「個々人がどう」という話をしているのではありません。
「指揮官先頭」に従って、特攻を考えた海軍上層部が最前線に行くべき所を、自分達は絶対に行かない倒錯現象…。
沖縄方面への特攻(菊水作戦)でアメリカ艦隊に大打撃を与えたのは、一般の予備学生・予科連(予備学生とは、こないだまで一般の学生だった方が海軍士官に任用された制度)といった方達が中心です。
海軍上層部の無能無策によって引き起こされた戦局の後退を、最後の最後で、硫黄島や沖縄の戦い、そして菊水作戦でひっくり返したのです。
菊水作戦は、こちらの戦死者の3000人に対して、敵の死傷者1万人。
1対2です。
これによってアメリカ海軍は非常に混乱状態に陥ってしまった。
日本人として、絶対に忘れてはいけない事です。
ただ、特攻隊の純粋性にフォーカスして、美談で終わらせてはいけない。
自分達の汚点を糊塗するかの様に特攻を発案し、出撃を実質的に命じておきながら、自分達は行かないその卑劣さ…。