幼児期の歪んだ生育環境で育まれた
三島先生の「狂気性
    
そもそも万物万象の本質は「陰陽」です。

三島先生の天才文学者としての素養や、鋭利な刃物の様な分析力は、まさに幼少期のこの、男性性を剥奪された「家庭という名の強制収容所」でこそ育まれたもの。
三島先生は、過酷な環境の中で、知性と感性を練磨したのです。

この収容所での経験がなければ、後年の「日本史上最高の文学者・三島由紀夫」は誕生せず、単に「一官僚・平岡公威」として静かに人生を送っていたと思われます。

また、憎しみの対象は祖母だけではなく、自分が求めた時にそばにいてくれなかった父にも向けられています。

三島先生が官僚的な体質を嫌ったのは、官僚であった父への反発もあったのではないかと、私は思っています。

そこで、「幼児期に両親の愛を得られなかったら、どういう軌跡を辿るか」という点にスポットを当てた研究をしている精神科医の岡田尊司 先生の『パーソナリティ障害―いかに接し、どう克服するか』(2004年7月 PHP研究所)から、引用させていただきます。

「多くの偉大なアーチストは幼児期に愛情面での傷つきを持ち、しかしその為に極度に繊細な感性と表現力を獲得している。彼らが溢れる愛情の中で育っていたら、一流のアーチストにはなれなかっただろう」

「優れたアーチストになる為に幼児期の愛情の傷つきは、それを補って余りあるだけのものをもたらすのである。人生に無駄は無いのである」

「辺境性人格障害の人の傲慢さや妥協しない性格は、創造的な芸術活動には非常に大切である。
周囲の他人を気にしていたら、本物の芸術作品は生まれないのである」

「逆に言えば、優れたアーチストというのは、心の中に癒されない『孤独』を抱えているのである」

…まさに三島由紀夫 先生ですね。

「人格障害」という呼称自体は悪いですが、実はこれは、凡人が及びもつかない天才姓を育むゆりかごなのです。

マリリンモンロー、太宰治、マイケル・ジャクソン、チャップリン、ダイアナ妃、ジェームスディーン、尾崎豊…。

歴史に名を残すこれら天才達は皆、辺境性人格障害の人達です。
松田優作もそうではないかと思います。

上記の人達は、尾崎豊はわかりませんが、少なくともそれ以外の人達は全員、幼児期に充分な両親の愛を受けていないのです。
(余談ですが私は中森明菜さんの大ファンなのですが、明菜さんもこのタイプにカテゴライズされる人だと私は思っています。
明菜さんのあの、トランス状態のシャーマンの様な天才的なパフォーマンスは、もはや通常人のそれではありません
ご自分でカミングアウトしていますが、明菜さんも幼少期に両者の愛に恵まれない過酷な環境で育っています)

三島は破壊願望も秘めていた

そしてこれらの人達と言うのは、その内面に、もはや他人が絶対に入り込めない独自の世界観と、時には狂気的な自己破滅願望の両方を内包しており、一般社会になかなか適合できない場合が多いのです。

※事実、三島先生が24歳の時に出版した描自叙伝的小説『仮面の告白』には、幼児期から、死ぬ事や痛めつけられる事といったマゾヒスティックな事への強烈な願望があった事が描かれています。

つまり、(全ての人がそうだとは絶対に言ってはいけませんが)幼児期に両親からの愛情を得られないと、狂気性と言いますか、「天才か犯罪者」になる可能性が少なからずあるという事です。

ちなみに、池田小学校連続殺人の宅間守や、数千万人の自国民を粛清したスターリンも同じジャンルの人間です。
彼らも根底にあるのは父親への憎悪。これは、悪い形に出たパターンです。