今年は、梅雨時には雨が降らず、梅雨が明けてからは、東京では8月以降雨の降らない日はないほど、晴天の日がありません。九州、東北・北海道では豪雨被害も数多く発生しています。この結果、野菜の収穫が減り、稲も生育も遅れています。

 

 世界に目を向けても、アジアでは中国・バングラデシュなどでは豪雨被害が発生し、アフリカでもシエラレオネ・コンゴなどで1,000人以上の死亡者が発生するような甚大な被害が出ています。これに対してヨーロッパでは大干ばつとなっています。

 

 これから収穫を迎えるブドウにも大きな影響があると思われています。

 

 植物は、光合成により大気中の二酸化炭素と水から糖分を作り出し、これをエネルギー源として各種の有機化合物を合成します。ブドウも同じです。

 日本のブドウ生産地では、日照時間がこの1ヶ月では平年の50~70%程度しかありません。従って、ヴェレゾンという色づきがかなり遅れる可能性があります。

 

 ブドウの生育には、日照量と降雨量が大きく影響します。ブドウの木が生育する段階では、多くの水分を必要としますが、色づき期を過ぎても、降雨量が多いとブドウの実に養分が行かず、樹体の成長に養分を取られてしまいます。

 

 ヨーロッパが干ばつで降雨量が少ないことは、ブドウの実の成長には良いことですが、それも程度問題です。降雨量が少なくても、ブドウの木のある場所の土壌の保水性が良ければ、ブドウの木は地中深くに張らした根から水分を取ることができますが、大干ばつというところまでいくと、ブドウの木そのものが枯れてしまうことになります。これでは、実の収穫までいけません。灌漑用水が確保できればいいのですが・・・

 

 ということで、今年の天候不順は、どの地域においてもブドウの収穫に悪い影響が出るのではないかと心配する今日この頃です。

 

 ブドウの収穫は地域によってばらつきはありますが、北半球では9~10月です。これからの天気が、どのようなブドウの出来になるかに大きくかかわって来て、それが今年作るワインの品質にも大きく影響します。幸い日本では、8月末から本来の夏らしい天気に戻っていくとの予想です。これからの天候の変化を見守っていきたいと思います。