彼の30年来の自宅は、とても爽やかな風が吹き抜けていて、居心地がよいおうちだった。

 

先妻さんを感じるものは、お位牌のコーナーの遺影(私も知っていたお写真)と、仏具のピンク色、供えられたピンクのプリザーブドフラワー、手入れのよい婚礼家具、

それから、花模様のウォールポケット、レースのカーテンくらいで、

あとはたくさんの彼の本とアルバムとオーディオラック、第一日は、それほどショックは受けなかった。

先妻さんの靴も服も見えなかった。

 

でも、二回目にすぐまたお邪魔した時には、良い住まいだなと思うと同時に、いつになく、先妻さんのことばかり考えて上の空になっている自分に気付いた。

 

これは偲んでいるわけではない。

私が勝手にノイローゼ気味になっているだけだ。

 

それに、彼からは、私の一度目の訪問の前に、私を気遣って、先妻さんの服など目につくものをしまった、と聞いて、

 

(そんなこと言ってしまった時点で、「気遣い」は半分泡になるというのに…

もう服は捨てたといっていたのにまだあったんだな

…などと、しかたないことを思うではないか~💦)

 

もやもやしてしまった。

 

彼は先妻のことは気にしすぎないでほしい、という。

 

私はむしろ、受け入れなければ幸せになれないのなら、と思って、親しみをもとうと頑張ってきたが、二回目訪問にして白旗を上げたい気持ちになった。心がつらい…。

彼と楽しく自分の人生生きるには、こんなに気にしていては難しいなあと。

 

ふたりで生きていくその場所は、できれば新しい場所で、食器も家具も自分のものにして、彼の家から持ってきてもらうものは最低限にして、というのがよい。もちろんできる範囲で。

 

そうして自分を大事にしてはじめて自分が幸せになり、彼も幸せになってくれるのではないか…と今更に思っています。

 

お読みいただきありがとうございます。