ファーストリテ株が急落、ユニクロ売上減は消費回復を象徴も

 [東京 5日 ロイター] 3月の国内ユニクロ事業の既存店売上高が前年比16.4%減になったと発表したこと受けて、5日の東京株式市場でファーストリテイリング<9983.T>が急落した。

 アパレル各社の中には健闘している企業もあり、これまでの「ユニクロ一人勝ち」のイメージが揺るいだ格好。徐々に期待されている国内消費の回復を象徴しているとの見方も出ている。

 国内ユニクロ事業の3月既存店動向は、売上高だけではなく、客数も同10.7%減と2ケタ減少を記録。客単価は6.4%減となった。直営店を含めた売上高は同8.4%減ダイレクト販売を含む売上高も7.9%減と全社的にマイナスとなっている。

 同社は2日、モスクワにユニクロ第1号店を開店させ、開店前から数百人が列を作るなど、今後の展開が期待される好材料になったが、これには反応せずに5日は売り気配でスタート、値が付いた後も下値を模索する動きで、10%を超す下げ率を記録した。半面、相場全般は円安を好感する形で上昇し「225採用銘柄である同社の下げがなければ、日経平均はあと50─60円は高くなったとみられる」(準大手証券情報担当者)という。

 ファーストリテイリングによると、3月は気温が低く春物衣料の販売が伸び悩んだという。実際、1日に気象庁が公表した3月の天候は、北日本から西日本にかけて顕著な多雨で日照時間も少なかった。また、東日本以西では月平均気温は高いながら、月末は強い寒気が流れ込み全国的に顕著な低温となるなど気温の変動が大きく、アパレル各社にとって恵まれた気候と言えなかった。

 ところが、市場では天候だけがユニクロ不振の要因とみている様子はない。アパレル業界全体で3月の月次動向をみると、天候に恵まれない中で上向いた企業や、プラスにならないまでも客数が上向いた企業もあるためだ。