みなさん、こんにちは。横山社会保険労務士事務所の横山 勝です。

 

会社勤めをしていると、必ずお世話になるのが就業規則です。

 

会社のルールブックであり、労働者と会社の関係を定める大切な書類。

 

でも、真面目に作られているはずの就業規則に、なぜか笑ってしまうような珍妙な条文が紛れ込んでいるのを知っていますか?

 

今回は、インターネットのコピペや古いひな形をそのまま使ってしまった結果、腹筋崩壊レベルの珍条文が爆誕してしまった事例をいくつかご紹介します。(インターネットから拾いました!)

 

 

 

 

  事例①:時代錯誤も甚だしい!「電報」での連絡義務

 

「従業員は、やむを得ない事由により欠勤・遅刻・早退をする場合、速やかに電報または電話にて会社に連絡しなければならない。」

 

え、電報?令和の時代に?

 

思わず二度見してしまうこの条文。

今はLINEやメールでサクッと連絡するのが当たり前になってきてますよね。

 

この条文、実はかなり古いひな形をそのまま使っている可能性が高いです。

 

昭和の時代には主要な連絡手段だった電報ですが、現代のビジネスシーンでは使われることはありません。(というか、今の若い方たちにとっては電報って何?の世界ですよね。)

 

古いひな形をそのまま使ってしまうと、このように時代にそぐわないルールが残ってしまうことがあります。(いや、古すぎるでしょ!)

 

 

 

  事例②:もはや哲学?「従業員の心得」が深すぎる

 

「従業員は、常に宇宙との調和を意識し、円滑な業務遂行に努めなければならない。」

 

いや、宇宙との調和ってどうやって? 

もはや宗教か哲学の領域に踏み込んでいるこの条文。

 

真面目に解釈するならば、「広い視野を持って、周りの人と協調しながら働きなさい」ということなのかもしれませんが、それにしても壮大すぎますよね。

 

おそらく、ネット上のどこかで見つけた、妙に格好つけた文章をそのままコピペしてしまったのでしょう。

 

 

 

  事例③:謎の禁止事項「勤務中の口笛や鼻歌」

 

「勤務中は、業務に関係のない私語を慎み、また口笛鼻歌を吹いてはならない。」

 

私語を慎むのは理解できます。(今は多少の雑談は許容範囲になりつつありますが…)

しかし、なぜ口笛や鼻歌がピンポイントで禁止されているのでしょうか?

 

これも古い就業規則によく見られる条文らしいです。

 

昔は、工場などで作業中の集中力を妨げたり、不謹慎な行為と見なされたりしたため、このようなルールが設けられていたようです。

 

現代のオフィスで口笛や鼻歌を歌う人はあまりいないかもしれませんが、このように具体的な行為を禁止する条文は、その時代背景を色濃く反映していることが多いですね。

 

 

 

  事例④:謎のルール「社内恋愛は部署内に限る」

 

「従業員は、円滑な業務遂行のため、社内恋愛は同一部署内で行うものとし、他部署の者との恋愛は原則として認めない。」

 

え、社内恋愛に制限ってかけるものなの?

しかも、部署内ならOKで他部署はダメという、あまりにも限定的で謎すぎるルール。

 

おそらく、部署を超えた恋愛が原因で業務に支障が出るのを懸念して追加されたのでしょうが、ここまで明記されると「そこまでするか!?」とツッコミたくなりますよね。

 

プライベートに踏み込みすぎている、時代錯誤な条文と言えるでしょう。

 

 

 

  事例⑤:会社と従業員を「甲」と「乙」で表現

 

「この規則において、使用者を「甲」とし、従業員を「乙」という。」

 

契約書でよく見る「甲乙」表現。

まさか就業規則の冒頭で使われているとは…。

 

まるで会社と従業員が対等な関係ではなく、契約の当事者として厳格に扱われているような印象を受けます。

 

無駄に堅苦しく、ちょっとした違和感を覚えます。

 

 

 

  読んで笑うだけじゃもったいない!なぜこんなことが起きるの?

 

ここまで珍妙な条文をご紹介しましたが、「笑って終わり」にするのは少しもったいないです。

 

なぜなら、これらの珍条文には、会社が直面している課題や、就業規則を軽視している姿勢が透けて見えるからです。

 

このようなおかしな条文が残っている背景には、主に以下の3つの理由があります。

 

 

1. 企業のルーズさ 

ネットで見つけたひな形をそのまま使ったり、古い規則を何十年も改定せずに放置したりしている企業は少なくありません。

 

就業規則は法律改正に合わせて常に更新すべきですが、それを怠ると時代遅れの条文が残り続けます。

 

 

2. 労働問題への無関心 

就業規則は、会社と従業員の「約束事」です。

 

ここに明記されていないルールは、トラブルになったときに効力を持ちません。

 

例えば、欠勤連絡の方法が「電報」と書かれているだけで、他の連絡手段を認めていないと、従業員にとって不利益が生じる可能性があります。

 

こうした不備は、万が一の事態で会社自身を守れなくなるリスクにつながります。

 

 

3. 専門家への相談不足 

就業規則は、労働基準法をはじめとする法律に基づき、会社の状況に合わせて作成・運用されるべきものです。

 

しかし、専門知識のない人が適当に作ってしまうと、今回のような珍妙な条文が生まれたり、最悪の場合は法律違反につながる可能性もあります。

 

 


 

 

就業規則は、ただの書類ではありません。

 

会社の理念や風土を反映し、そこで働く従業員を守るための、大切な「ルールブック」です。

 

あなたの会社の就業規則にも、クスッと笑える「お宝条文」が眠っているかもしれません。

 

ぜひ一度、手にとって読んでみてください。

 

そして、もし「これは…?」と思うような条文を見つけたら、会社の総務や人事に確認してみるのも面白いかもしれませんね。