<質問項目>
・自治体監査の厳格化
・経済成長戦略2010の食品、健康ビジネス
・振り込め詐欺対策

<詳細>
○(横山博幸議員) (拍手)皆さん、おはようございます。
 民主党の横山博幸でございます。
 民主党の一員として、一般質問をさせていただきます。
 まず、質問の前段となりますが、昨日、菅直人新内閣が誕生いたしました。自民党が結党された1955年以来、自民党に所属したことがない政治家が首相につくのは、社会党委員長だった村山富市氏以来、実に2人目であります。まさに日本の政治の大きな変化を物語っているのではないでしょうか。
 こうした政治の変革期に、自民党を初めとする野党は、民主党の政治手法に対し、大いなる反論を唱えております。特に、国民の血税の無駄を省く事業仕分けに異論があるとのことでありますが、民主党政権が2010年度予算の無駄を削減するため繰り出した昨年11月の事業仕分け、これは問題事業の予算査定を公開で行う画期的な手法でありました。この仕分け作業によって、目標の3兆円削減には至りませんでしたが、1兆円近い歳出をカットする一方、独立行政法人や公益法人の基金に眠る埋蔵金1兆円超の歳入を確保いたしました。
 こうした事業仕分けは、国民の高い支持も受け、さらに本年4月に独立行政法人に対し、また、5月には政府系公益法人に対し事業仕分けを行いました。まさに官僚利権の撲滅策でもあったわけです。
 官僚利権とは、国民が納めた税金や年金などの社会保険料を、国民の目に届かないところで、自分たちの省庁の利益のために、補助金、委託費などの形で天下り法人に対して継続的に支出し、長い年月をかけ、官とそのOBとで確保し、分け合って離さない利権の総体を指すと言われており、文明評論家渡部昇一氏は、税金の浪費は脱税以上の罪に値する、天下りは汚職であるとまで言われております。
 ここで政治の歴史を振り返ってみるならば、私は、むしろこの事業仕分けは、50年以上にわたり長期政権を担ってきた自民党の果たすべき役割であったのではないでしょうか。民主党は、情報公開を進め、国民にすべてを知らしめる努力をしておりますが、自民党は、今になってみれば、同じ公開でも過去を悔やむ後悔の念に立っているのではないでしょうか。
 いずれにしましても、批判からは何も生まれません。政党の域を超え、国民の生活の安定のため、地方政治家としてもお互いに全力を尽くしてまいりましょう。
 それでは、以下、質問に入ります。
 初めに、自治体監査の厳格化についてお伺いします。
 本年4月26日、第3回地方行財政検討会議における財務会計制度・財政運営の見直しの中で、不適正経理事件などを踏まえた監査制度などの抜本的見直しについて、「不適正経理事件等を踏まえ、地方自治体の監査制度等の抜本的な見直しが必要ではないか。また、財務会計における透明性の向上と自己責任の拡大が必要ではないか」との方向性が示されたとの報道がありました。
 また、新聞報道など、特に5月17日付日本経済新聞に概要が掲載されておりましたが、総務省は、多くの自治体で不適正な経理処理が判明したことを踏まえ、自治体の支出の中身や財政状況などを監査する制度を抜本的に見直すとされております。現行の自治体監査制度を、自治体議員や自治体OBが監査するなど、なれ合いとの批判がある既存制度は廃止し、複数の自治体が共同で監査専門の組織を設置する仕組みにし、監査の資格制度の創設も検討することとしております。ちなみに本県でも、4名の監査委員のうち2名は自民党所属県会議員が就任しております。
 新監査制度は、英国が1980年代に創設した監査委員会を参考に設計するとのことですが、この英国の委員会は政府の機関であり、自治体から手数料を徴収して運営しており、監査担当者の任命権などの権限を持っております。
 さて、民主党を主体とする政府の地域主権改革で、国が使い道を決めていた補助金を廃止し、自治体が自由に使える交付金に衣がえするなど、地方の権限が大きくなるように見直しが進んでおり、これを原口総務大臣は、地域主権改革はまさに民主党政権の1丁目1番地の改革であり、みずからが決定権を持ち、地域の方々がみずからの地域をつくっていくことに責任を持つということと述べております。この地域主権改革の実行に伴い、監査の重要性がこれまで以上に増してくると思われますが、総務省は、既に原口総務相を議長とする地方行財政検討会議を1月に設置し、監査制度の見直しに着手しており、年内にも改革案をまとめる予定となっております。
 現在、自治体のお金の使い方のチェックは、監査委員制度と外部監査制度の2本立てで行っており、借入金比率のような財政指標が適切かどうかなどを審査し、住民の監査請求に基づく監査も担当しております。しかしながら、全国に4,000人弱いる監査委員の多くが自治体関係者で、監査が甘くなるとの指摘がありました。一方、公認会計士などが監査する外部監査は、人手の確保が難しく、小規模な市町村の多くでは導入が進んでいないのが事実であります。
 こうした状況の中で、昨年、千葉県で37億円の不正経理が見つかり、神奈川県では28億円の不正経理問題が発覚しました。詳細のところまで承知しているわけではありませんが、報道によりますと、これら不正経理は、伝票と違う商品を業者に納入させたり、事務用品などを架空発注したりして資金をプールするといった事例とのことでありますので、これらを見ることは容易ではないと思います。
 こうした事実を受け、神奈川県では、不正経理問題の再発防止策として、財務・会計分野に精通している有資格者から採用した任期つき職員をリーダーとする特別会計検査チーム、会計Gメンを設置し、本庁や出先機関の予算執行権や現金管理などを抑止力の発揮できる抜き打ち検査体制をしいておりますが、総務省では、さらに監査機能の独立性を高めて、お金が正しく使われているかどうかを厳密に監査し、近年、財政の悪化する自治体がふえているのに対応し、財政状況をより適切に把握できるようにするとの考えであります。
 具体的には、新たな監査を専門に手がける組織を設置し、機能を集約する、また、地方自治法に都道府県と市町村が共同で広域をカバーする監査組織を立ち上げるように盛り込む、あるいは全国を複数のブロックに分け、ブロックごとに組織を設置する案と、全国統一の組織とする案の双方を検討しているとのことであります。
 これらの組織の役割は、国の会計検査院と近いわけでありますが、現在、自治体が監査担当者の調査に協力するよう義務づけられてはおりません。このため、監査担当者の権限の強化につきましても、今後、検討し、また、厳密に監査できるように、自治体OBが監査する場合も出身自治体は担当させない仕組みを導入する考えであります。
 さらには、実際の監査に当たる人材を自治体監査人として認定する資格制度も新設するとのこと。これは、資格の導入により、自治体の業務や財務に詳しい人材の確保につなげる目的であります。
 そこでお伺いいたしますが、私は、新監査制度は、不正経理はもとより、不適正経理をも撲滅する画期的な制度だと認識いたしますが、地方自治体における現状の監査の問題点並びに新監査制度に対する見解をお聞かせください。
 次に、経済成長戦略2010の食品、健康ビジネスについてお伺いします。
 我が国の景気は、国の経済対策の効果などにより持ち直しつつあるものの、いまだ自律性が弱く、失業率は高水準にあり、企業では先行きに慎重な見方が多く、特に雇用情勢は依然として厳しい状況にあります。
 このように、景気の回復感が見られない中で、昨年末には「新成長戦略~輝きのある日本へ~」が閣議決定され、新たな雇用創出を実現しようとしております。このような成長戦略は、民主党政権以前の過去10年間に10本を超える戦略が出されましたが、いずれも実行されないままに終わった経緯を踏まえ、今回は十分に国民の声を集めながら、環境・エネルギー、健康(医療・介護)、アジア、観光・地域活性化など、日本の強みを生かしたフロンティアを着実に開拓しようとするもので、先日発表された経済産業省の産業構造ビジョンによると、今後、環境・エネルギー、医療・介護・健康など5分野で149兆円以上の市場創出を見込むなど、大きな経済成長が期待されるものであります。
 一方、本県におきましても、低炭素、健康、観光、食品の4つのビジネス分野を重点とした愛媛県経済成長戦略2010を取りまとめ、成長型の産業集積を戦略的に進めようとしておりますが、ぜひとも着実に推進していただき、本県経済の持続的な発展につながることを切望する次第であります。
 さて、本県の成長戦略の中で私が注目しておりますのは、食品ビジネスと健康ビジネスであります。
 食品につきましては、昨年11月、農水省で開かれた食料・農業・農村政策審議会の企画部会で示された資料によりますと、食品産業の国内生産額は約82兆円で全産業の約8%を占めるほか、就業者数は775万人で全産業の約13%を占める巨大な部門であり、私たちの生活と暮らしに大きくかかわっていることがうかがえます。
 本県では、その位置づけがさらに高くなり、食料品製造業の事業所数、従業員数シェアは、製造業中第1位、シェアは2割近くで、すぐれた農林水産物を有する中四国屈指の農林水産県であることを背景にして、食料品製造業は本県の基幹産業である上に、食品の必需性や生鮮性、食習慣の地域性など、地域レベルでの雇用創出と地域活性化に大きな効果をもたらす産業と言えるのであります。
 しかしながら、近年の食に関するニーズの多様化や生産現場の疲弊などにより、農林水産業を主体とした食品に強いという本県の特性が十分に生かし切れていないため、民主党も力を入れております植物工場の普及促進のほか、さらに農商工連携による新たなビジネスモデルの構築など、もうかる食品産業への戦略的なチャレンジが必要となっており、農林水産業と食品加工業が連携を強め、双方がともに潤う食ビジネスによる食品供給基地愛媛を実現してほしいと願う次第であります。
 そこで、お伺いしたい第1点は、本県では、公設試験場やあぐりすとクラブ、チームえびすなどで構成する農商工連携促進戦略会議を設置し、新しい農商工連携ビジネスを推進していくこととしておりますが、戦略的な農商工連携をどのように進めていこうとしているのかお尋ねいたします。
 次に、健康ビジネスについてお伺いいたします。
 近年の高齢化社会や医療費増加などにより、消費者の健康ニーズが高まっており、国民の健康増進を目的とした生活習慣の改善や食育の取り組みが広がるなど、健康維持につながる食生活の実現が求められている中で、食品産業が多く立地する本県にとりまして、健康食品ビジネスは、今後の成長が見込まれる有望な分野であると考えております。
 ある調査では、健康関連食品の市場規模は、サプリメントなどの健康食品6,500億円、特定保健用食品6,000億円、健康的な特性を加味した食品、ドリンクなどの健康志向食品に至っては何と2兆8,000億円とも言われており、また、こうした健康食品分野は、異業種のプレーヤーが特産品など地域資源を組み合わせた有機的な連携により新たなビジネスチャンスが広がることも多いのではないかと考えております。既に県内でも、機能性食品素材により高血圧を抑える機能を持つと言われる飲料や血糖値抑制に効果があるとされている食品などの商品化も行われておりますが、新規参入しようとする企業にとりましては、こうした健康食品の分野は各種規制や効能の検証に費用や時間がかかるなど、なかなか踏み切れない状況にあるため、行政の一層の支援も必要ではないかと考えるものであります。
 そこで、お伺いします。
 県では、地域特産品を活用した健康食品の開発に対して、助成措置を含め積極的に支援すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
 次に、本県における口蹄疫の防疫対応についてお伺いします。
 本年4月20日に宮崎県で発生が確認された口蹄疫は、5月にも終息することなく、未曾有の被害となっております。家畜を飼育する畜産農家は、伝染病などに感染するリスクを常に抱え、日ごろから衛生対策には余念がないとお聞きしておりますが、今回は、10年前に宮崎県、北海道で発生した口蹄疫とは違って伝染力が強く、また、発生した地域が宮崎県でも有数の畜産地帯であったため、想定を上回るスピードで次々と感染が拡大していったのであります。
 殺処分の決定した牛の何かを訴えるような悲しい瞳は、心を締めつける思いであり、我が子のようにかわいがってきた牛たちと無念の別れをしなくてはならない宮崎県の畜産農家の心情を思うと、このような事態は二度と繰り返してはいけないとの思いを強くするものであります。
 こうした事態を踏まえ、政府は5月17日、首相を本部長とする口蹄疫対策本部を設置するとともに、宮崎県庁に現地対策本部を設け、政府を挙げて被害の拡大防止や農家への経済支援などに取り組んでいるのは、御案内のとおりであります。
 口蹄疫のように、ある日いきなり海外からやってきて猛威を振るう悪性の伝染病に対しては、早期発見と発見後の迅速な対応が何よりも重要であります。しかし、宮崎県では、殺処分を初めとする現場において、獣医師であり家畜伝染病の発生予防や蔓延防止に従事する家畜防疫員が大幅に不足し、あらゆる作業が順調に進んでいませんでした。加えて、疑似患畜の数がどんどんふえていく中で、埋却地も不足し、感染の拡大につながっていったのは否めない事実であります。まさに初動防疫の大切さを痛感するわけですが、これら作業に最も深く関係しているのは、家畜防疫員と呼ばれる獣医師の存在であります。
 そこで、お尋ねいたします。
 口蹄疫発生時の初動防疫活動において、家畜防疫員の役割は非常に重要であると考えますが、本県においては、今月1日に口蹄疫防疫対策チームを設置されたとのことですが、万が一の発生に備え、どのような家畜防疫体制をとっていかれるのかお伺いをいたします。
 次に、林業の担い手育成に対する本県の取り組みについてお伺いします。
 本県の森林は、県土の約7割を占める貴重な資源であり、その資源を糧とした林業は、就労の場の少ない山村や中山間地域の人々に基幹産業として雇用の場を提供し、地域経済に大きな貢献を果たしてまいりました。しかしながら、これらの地域を支えてきた林業は、外材の輸入増加や長引く木材価格の低迷、生産コストの増大などによって森林所有者の林業経営意欲の低下を招き、ようやく森林資源が成熟してきたにもかかわらず、多くの森林が放置され、水源の涵養など万人が共有する公益的機能にも支障を来すと同時に、林業経営の崩壊を招かないか危惧をしているところであります。
 このような中、民主党は、昨年12月に、コンクリート社会から木の社会を目指した森林・林業再生プランを公表いたしましたが、このプランは、林業、木材産業を成長戦略の中に位置づけ、国内林業の活性化と山村での雇用創出をねらいとして、木材自給率を、現在の24%から、10年後には50%まで引き上げるとした数値目標が示されております。
 現在、国においては、平成23年度からの具体的な施策化に向けて、路網の整備や木材需要の拡大、人材育成対策などについて種々検討が行われているとのことでありますが、とりわけ林業を成長産業に育てるための人材育成が重要であるとして、ドイツ林業に範を求めた日本型フォレスターの養成について検討がなされていると聞いております。
 一方、県におかれましては、加戸知事を先頭に、これまで水源林の整備や公共施設の木造化など、国に先駆けた森林蘇生対策に鋭意取り組んでこられましたことに敬意を表する次第でありますが、今後、林業の再生を図るためには、これまで以上に林業を一大産業として担う人材の育成がより一層重要になってくるのではないかと考えております。
 一昨年の世界同時不況を機に、長く低迷を続ける木材価格がさらに暴落したのは記憶に新しいところでありますが、こうした現況において、林業が経営を維持し、森林の恩恵を将来にわたって享受し続けるためには、高度な技術者の養成に主眼を置いたさらなるコスト縮減に向けた取り組みが急務であると考えるのであります。
 そこで、お伺いします。
 成熟しつつある森林資源を十二分に活用していくためには、経営的な感覚と、これまで以上に生産性の高い技術を備えた人材が必要であると思いますが、本県においては、今後、どのようにして林業の担い手を育成されていくのかお聞かせください。
 また、このことに関連して、私も早くから情報を入手しておりましたが、このたび愛媛大学では、県と連携して、高度な林業技術者の養成を目的とした大学院特別コースを我がふるさと久万高原町の愛媛県農林水産研究所林業研究センターに新設し、来年の4月から開学する予定と聞いておりますが、その概要を含めてお聞かせ願います。
 なお、質問からは離れますが、個人的見解として、県立上浮穴高校森林環境科との連携ができれば、愛媛大学の地域への貢献もさらに高くなると思われますので、ぜひとも具体化をしていただきたいものであります。
 質問の最後に、振り込め詐欺対策についてお伺いをします。
 振り込め詐欺の被害につきましては、テレビや新聞などの報道により、昨年1年間の県内の被害は一昨年に比べて6割減少したとのことであり、また、被害防止対策として、警察官や金融機関職員によるATMの警戒や広報活動、各種会合を利用した防犯教室などの開催あるいは街頭ストリートビジョンでの広報活動などが行われるなど、官民一体となって被害防止活動に取り組み、振り込め詐欺撲滅に向けた対策を強化して、着実に成果を上げつつあることは、承知のとおりであります。
 しかしながら、最近、県内において、高齢者を対象とする振り込め詐欺の被害が報道されたほか、警察官や金融庁職員を装った手口の振り込め詐欺被害も報道されるなど、依然として犯罪グループが暗躍しているところであり、多くの県民が振り込め詐欺被害の危険にさらされている状態にあります。これら振り込め詐欺撲滅のためには、今後も引き続き検挙活動を一層強化するとともに、さらなる被害防止対策の推進が必要であると考えております。
 そこで、お伺いします。
 まず、ことしに入って、振り込め詐欺の発生状況はどのようになっているか。
 次に、おれおれ詐欺などの被害に遭いやすいと言われる高齢者に対する被害防止対策などの取り組みはどうなのか、お聞かせを願いたいと思います。
 以上で、民主党、横山博幸の質問を終わらせていただきます。理事者の方々の真摯な御答弁をお願い申し上げまして、終わります。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
○(西原進平議長) 理事者の答弁を求めます。
○(加戸守行知事) 議長
○(西原進平議長) 加戸知事
  〔加戸守行知事登壇〕
○(加戸守行知事) 横山議員の質問に答弁いたします。
 経済成長戦略2010に関しまして、戦略的な農商工連携をどのように進めていこうとしているのかとのお尋ねでございました。
 すぐれた農林水産資源に恵まれ、数多くの食品加工業が集積する本県におきましては、戦略的かつ互恵的な農商工連携により、農林水産業と関連産業が経営資源を共有しながら、食の強みを生かした新たなビジネスを展開、成長していくことが、地域経済の未来を決めるかぎになるものと認識いたしております。
 このため、県では、経済成長戦略2010の中で、農商工連携を食料供給基地えひめ実現の推進エンジンとして位置づけまして、本年2月に創設しました25億円の農商工連携ファンドによる商品開発助成事業や、本年4月から、元大手百貨店食品部門のバイヤーをプロジェクトマネージャーとして採用し、事業化助言を行うなど、実践的な取り組みを強化したところであります。
 また、農商工連携の方向性や地域展開方策等については、行政はもとより、産学一体となった戦略的な検討が不可欠でありますため、農林水産部と経済労働部の幹部職員や愛媛大学等で構成する農商工連携促進戦略会議を来週設置することとしておりまして、横山議員お話のありました植物工場の普及促進や新たな物流システムの構築などについて、個別テーマごとの専門部会を設け、ビジネスモデルの構築を図ることといたしております。
 今後とも、愛媛の魅力ある産品を活用した有望案件の事業化に努めながら、農林漁業者と商工業者がともに潤う食ビジネスが展開できますよう、官民一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、万が一の口蹄疫発生に備え、どのような家畜防疫体制をとっていくのかとのお尋ねでございました。
 横山議員からお話のありました家畜防疫員については、本県では、家畜保健衛生所や保健所等に勤務する獣医師107名を任命いたしておりまして、口蹄疫の発生時には、正確な診断やウイルス検査材料の採材、さらには最前線で殺処分やワクチン接種などの重要な役割を担うこととなります。
 特に、口蹄疫を迅速に終息させるためには、すべての獣医師が部局の枠組みを超えて迅速かつ的確に初動防疫活動に従事する必要がありますことから、農林水産部及び保健福祉部に所属する獣医師職員を対象に、去る5月末から、本病の知識や技術の向上を図るための研修会を東・中・南予の各地域で実施し、家畜防疫員を中心とした防疫体制を整備しているところでございます。
 今後、県としては、6月1日に立ち上げた口蹄疫防疫対策チームが中心となって、万が一県内で発生した場合に備えた初動防疫対策等を検討、実施していくこととしておりまして、この中で、埋却地や消毒体制なども検討することとしておりますが、宮崎県の例を見るまでもなく、本病の防圧には、獣医師の知識や技術を必要とする作業が膨大となりますことから、県職員OB及び民間獣医師にも呼びかけ、協力いただける獣医師として登録を願うなど、念には念を入れた防疫体制の構築に努めてまいりたいと考えております。
 その他の問題につきましては、関係理事者の方から答弁させることといたします。
○(東倉勝利経済労働部長) 議長
○(西原進平議長) 東倉経済労働部長
  〔東倉勝利経済労働部長登壇〕
○(東倉勝利経済労働部長) 横山議員にお答えをいたします。
 経済成長戦略2010についてのうち、地域特産品を活用した健康食品の開発に対し、助成措置を含め積極的に支援すべきと思うがどうかとのお尋ねでございました。
 国民のライフスタイルの変化や健康志向の高まりを背景に、健康食品市場は急速に拡大しておりまして、豊富な農林水産物やすぐれた食品加工技術を有する本県産業にとりまして、健康食品は有望な成長分野であると認識をいたしております。
 県では、これまでも、食品の持つ機能性成分に着目し、柑橘等から高血圧を予防するギャバを抽出、生成する研究や、アレルギー抑制効果のある茶の葉を活用した商品開発への助成などに取り組んでまいりましたが、健康食品に求められる効能が多様化する中で、さらに付加価値の高い製品開発が課題となっております。
 このため、経済成長戦略2010では、健康食品の開発支援を戦略の一つに位置づけまして、今年度、企業や大学、医療機関等で構成するえひめ健康ビジネス研究会(仮称)を設置しまして、県内企業の商品、サービスや技術シーズなどを把握しながら、健康食品の開発助成も含めた新たな支援策を検討したいと考えております。
 また、健康食品は、効能、効果の表示や製造管理における法規制など、クリアすべき課題も多いことから、関係部局との連携のもと、企業が円滑に新規参入できる環境づくりにも努めながら、愛媛発の新たな健康食品の開発を促進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○(佐伯滿孝農林水産部長) 議長
○(西原進平議長) 佐伯農林水産部長
  〔佐伯滿孝農林水産部長登壇〕
○(佐伯滿孝農林水産部長) 横山議員にお答えいたします。
 今後、どのように林業の担い手を育成していくのか。また、愛媛大学が林業研究センターに新設予定の大学院特別コースの概要はどうかとのお尋ねでございます。
 横山議員お話のように、担い手の育成は重要であることから、県では、いち早く高性能林業機械等を駆使し得る高度な技術者を養成するため、平成7年度に現在の林業研究センターに技術研修施設を整備し、愛媛型フォレスターとも言える愛媛県林業技能技士や愛媛県高度林業機械技士の育成に努めているところでございます。
 このほか、就業相談や職場体験などの参入支援を初め、就業後は、資格取得やOJT研修など習熟度に応じた各種技術研修などを行っており、今後とも、幅広い人材育成に総合的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 また、横山議員お話の愛媛大学大学院特別コースにつきましては、先月21日に文部科学省から採択の通知があったものでございまして、その概要は、県林業研究センターを拠点として、地域や事業体をマネジメントできる高度な管理技術者を養成するもので、修士コース5名と社会人リカレントコース20名の2コースで、来年4月の開学が予定されているところでございます。
 県といたしましては、今回の特別コースの開設を踏まえ、今後、愛媛大学と協力しながら、森林GISやGPS測量といった新たな技術と、実践力やコスト感覚にすぐれた経営能力を有する新しいタイプの人材育成にも取り組み、より総合的な担い手対策を強化してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○(牛嶋正人警察本部長) 議長
○(西原進平議長) 牛嶋警察本部長
  〔牛嶋正人警察本部長登壇〕
○(牛嶋正人警察本部長) 横山議員にお答えいたします。
 振り込め詐欺対策についての御質問のうち、まず、ことしに入ってからの振り込め詐欺の発生状況はどうかとのお尋ねでございます。
 本県の振り込め詐欺の発生状況は、本年5月末現在で、被害件数25件、被害総額1,275万767円であり、前年同期と比べ、件数で32件、被害総額で約4,109万円減少しております。
 類型別では、還付金等詐欺、融資保証金詐欺が大幅に減少しているものの、おれおれ詐欺、架空請求詐欺はわずかな減少にとどまっております。
 また、65歳以上の高齢者の被害につきましては9件発生しており、振り込め詐欺被害全体の36%を占めております。特に、おれおれ詐欺被害の8件は、すべてが高齢女性が被害者となっております。
 さらに、振り込め詐欺に関する相談は、5月末で236件寄せられておりますことから、犯人から県民への接触は引き続き活発に行われていると認識しております。
 次に、高齢者に対する被害防止対策などの取り組みはどうかとのお尋ねでございます。
 高齢者に対する被害防止対策につきましては、ことし発生しました被害を分析したところ、犯人は、電話帳に掲載されております氏名等から高齢者を抽出して架電している状況がうかがえます。このため、先制的予防対策として、県内の電話帳に片仮名や平仮名名あるいは旧字体を含む名前で掲載されております高齢者と思われる方に警察官が直接電話をかけ、注意喚起を行うほか、最近の手口を紹介するなどして、高齢者の抵抗力の強化を図る電話作戦を県内全警察署において実施しております。
 また、昨年に引き続き、本年6月から、緊急雇用創出事業といたしまして、高齢者世帯安全安心訪問事業を開始し、58名の高齢者安全安心サポーターが高齢者宅を訪問して、被害防止指導等を行っております。
 さらに、愛媛県防犯協会連合会と合同により、振り込め詐欺被害防止のためのテレホンサービスを6月2日に開設し、犯人と被害者との会話内容等の情報を電話で提供しておりますほか、昨年制作いたしました振り込め詐欺被害防止ソング「騙されん音頭」や寸劇等を取り入れました防犯講話などとあわせ、広報活動を実施しているところでございます。
 以上でございます。
○(和氣政次監査委員) 議長
○(西原進平議長) 和氣監査委員
  〔和氣政次監査委員登壇〕
○(和氣政次監査委員) 昨年4月に監査委員に就任以来、初めて登壇の機会をいただきました。
 横山議員にお答えをさせていただきます。
 地方自治体における現状の監査の問題点は何か。また、新監査制度に対する見解はどうかとのお尋ねでございました。
 県の監査は、県の全機関及び指定管理者や県が補助金、出資金等で援助を行っている団体について、年間を通じて実施しており、平成21年度は314の機関、団体等を監査して、623件の指摘等を行いましたほか、随時、住民監査請求による監査を行っております。
 これらの監査を実施する上では、職員の監査専門能力の向上と多様な行政分野に関する幅広い知識の習得をいかに図るかが大きな課題でありますが、一番の問題点としては、毎年度300を超える機関、団体等の監査を限られた人員で行う必要があるため、日程が制約され、事務の一部を抽出した監査にならざるを得ない点にあると考えております。
 このような問題点はありますものの、監査委員といたしましては、監査方法を工夫しつつ、公平不偏の立場から客観的に監査し、その結果を公表するなどして、県行政の公正と能率の向上に資するよう全力で取り組んでいるところであります。
 また、新しい監査制度につきましては、これまでも国の地方制度調査会等で検討が行われておりました。さらに、横山議員お話のとおり、現在、地方行財政検討会議でも議論されておりますが、今後、コストや人材確保等も含めた具体的な検討を深め、より合理的かつ効率的な監査制度が構築されることを期待しているところでございます。
 以上でございます。