法定協での反対派の主張と反論
自民党府連の公開討論会、どなたが提案したか存じませんが大切な機会と思います。
分かりやすい形で賛否の議論がなされることを期待いたします。
さて都構想賛成派として協議会に参加したものでして法定協議会における反対派の主張に関して、当時の議論メモを一点だけ記載しておきます。
その前にちょっとだけ余談。
都構想反対派の、特に市議に欠けている観点が
「大阪市は経済圏の中心として独自の税収と歳出構造があり、大都市大阪の成長を通じて市民が利益を享受してきた。
特別区に移行したとしてもその役割は不変であり、
特別区は大阪の成長を通じて区民(旧市民)が利益を享受する構造にある。」
という点です。
すれ違いの根幹がずっとわからなかったんですが、たぶん強固に反対している市議には根底としてこの観点が欠落しています。
ほんと、よくかみ砕いて相手の主張聞いて考えてみてください。たぶんここに突き当たります。
さてまず反対派の主張は当然「大阪市民が損する」が結論です。
「損する」の論拠のひとつがコスト増(反対派の勝手な試算)です。
(反対派)特別区になれば大きなコストが発生する
まず協議会で反対派委員がよく使用したパネル。
これまだ使用すんのかな。
上図の赤字に記載されている3つのコストが、彼らが「特別区の財政が脆弱になる」と主張する論拠かと思います。
つまり上図の3つの赤字のコスト概念が主張として成立しなければ、大阪市、特別区へのリスクは発生しないことになります。
以下、
反対派:
コスト発生、住民リスク増
賛成派:
反対派が主張するような内容のコストは発生しない。
なお移行につきコストも一定発生するが相当の財成措置あり
という論点で主張を記載していきます。
行政コスト増?
さてまず一番上の「行政コスト」
以下協議会の議事録より抜粋
反対派自民市議委員
行政コストの増大で200億。例えば職員数が300人以上増えるという問題もあり ますし、ここが以前から基準財政需要額をきちっと積み上げてくださいねっていうことを 申し上げておりますが、先ほど実はおっしゃったような包括算定経費等々で、これ人口で 係数変わるところなんですね。段階補正やったかな、変わるところがあるんですけれども、 これを単純に人口をあれしたときに係数が変わるとやっぱり200億ぐらい基準財政需要額 がやっぱり減る。これは独自の試算です。
要約すると、「交付税措置の中で、現行の大阪市の人口基準から特別区になれば減少するので、段階補正の中で補正係数に変動があり需要額が増える。」ということかと思います。
本件にかかる反論は
「需要額算定においては他の補正係数においては需要額が減少すると考えられるものもあり増加一方ではない。」
総務省 地方交付税
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/kouhu.html
補正係数
https://www.soumu.go.jp/main_content/000030007.pdf
上記の補正係数が行政コスト増の論拠かと思いますが、中をチェック頂くと特別区移行に伴い増加補正に働くものと減少補正に働くものがあります。
増加の傾向だけをことさらに抜き出している主張になり、論拠が脆弱。
行政コスト200億円増は主張として成立しません。
庁舎建設・特別区移行イニシャルコストについて
あとは赤字の2番目と3番目、イニシャルコストについて
公明党さんの提案もあり特別区庁舎は中之島庁舎の最大活用が提案されました。
結果、庁舎建設費は大幅に抑えられています。
特別区負担分のイニシャルコストは204億円です。
この点は実際かかってくると想定されるコストかと思います。
ただ今回さらにこの点も議論されました。府の財政措置、10年で200億円です。
特別区負担のイニシャルコスト分は府から財政措置されていくことが公明党さんのご提案で進んでいきました。
大阪全体で成長する。そして特別区民が利益を享受していく。
移行に関しても大阪全体でバックアップしていくことが協議されました。
以上のことから、再度結論。
反対派委員の言う2番目と3番目の「コスト」について、移行コストは発生するものの応分の財成措置が行われるため大阪市民、特別区における実質負担・リスクはない。
以上、反対派委員の主張する「特別区に移行することで市民がリスクにさらされる」という点については成立しません。
そのうえで一元化の効率化効果や自治体規模の適正化による財政効率化効果、またIRの特別区への収益配分などプラスの効果は非常に高い。
財政調整制度も、透明性が高く、東京都と比しても特別区よりの制度設計になっていることも明らかです。
この辺の論点も含めて制度の議論を深めて頂く議論がされることを期待しています。