「維新は緊縮財政だ」というご批判をsns上でいくつか見かけたので自分なりに考えてみました。
ネット上でははるかに専門的に数値を上げて主張頂いているのでそもそも論になって申し訳ありませんが。
また書いてたら途中から党の成長戦略にもかかってきたので併せて参院選を経て思ったことを記載します。
維新は緊縮財政なのか
維新は緊縮財政なのか、という議論をたまに耳にします。
そもそも緊縮財政の定義がまちまちなので議論しづらいところはありますが。
ただ維新のことを緊縮財政と評する多くの方が基本的には債務にとらわれず財政を出動すべきといういわゆるMMTの理論に立脚されていることから、その方々からすれば維新は、というより自民も緊縮財政になるのでしょう。
いろんな角度から府や市の財政運営について議論を頂いていますが、ようは財源に糸目をつけず財政出動すべきという観点からすれば財政規律を守りながらの行財政運営を行っているすべての政党は緊縮財政になります。
なので維新は緊縮財政か否か、という議論はあまり意味を成していません。
念のため今年度大阪府予算にかかる概要を添付します。
http://www.pref.osaka.lg.jp/zaisei/yosan/h31tousho.html
税収の規模に応じて予算を組み、太田房江元知事が行った減債基金の取り崩し復元も行いながら、社会保障や防災などにも予算を投じています。
この予算運営を緊縮と評されるのであればそれは「財政規律の堅持」という概念に対するものであり、党派は関係ありません。
よって維新が緊縮財政なわけではなく、財政規律を重んじる運営はMMT支持者からすれば全て「緊縮に映っている」というのが現状です。
債務を気にせず市中に貨幣を流通させるべきか
ここから少しMMTに対する個人的な意見。
MMT(Modern Money Theory)に基づくと国債を自国消費している限り財政均衡を意識する必要は薄く、債務のボリュームに限らず財政出動すべし、というのが基本方針かと思います。ただその歳出先はむやみやたらにかつ無尽蔵に歳出を行うものではなく、課題解消(失業解消・社会保障整備・社会インフラ整備)を達成するまで、というのが当然の認識と考えています。
MMTはインフレをコントロールできなくなるため施策としては異端、という批評が現時点では一般的かと思います。
債務にとらわれず貨幣を市中に発行した場合、お金がダブつき物価が上がる。
物価が上がった場合、当然社会保障制度などもこれにスライドして上げねばならない。
しかしこのサイクルの中で上がっていく物価と歳出をコントロールできなくなり、最終的には社会保障を深く享受している層がダメージを受ける。
このインフレリスクを債券発行等でコントロールできると考えているのがMMTの基本理念。
ただ実際の政治行政運営上は即座に財政施策を転換できるものではなく、個人的にもこのリスクに勝ちうる提案が現時点でMMT支持層からなされているとは感じません。
社会保障の充実・雇用環境改善など、歳出先とされる各施策の重要性の捉え方は同じと考えますが、安易に国家をアンコントロールな状態に晒すリスクを是認することは現時点ではかないません。
というか現時点の日本が既にMMT実践国とも言えるかもしれません。現時点の国債残高はGDP比で200パーセント超え。発行債権のほとんどが国内市場で回ってます。
https://financialjournal.ana.co.jp/economy/detail/id=279
これがMMTを否定しながらも代々の政権が止むを得ず歳出を止められない何よりの証左です。一度緩めた財布の紐を容易に政治がコントロールとは到底考えられません。
とはいえ住民サービスは向上させたい
ただ社会保障充実や雇用などの面で財政出動が必要であることも感じます。
だからこそ、財政規律の堅持は目指しつつ成長戦略でGDPを押し上げて金融施策等併せて将来的に安定した税収の確保を目指すことが重要です。
成長戦略に立脚し財政再建を目指しつつ社会保障制度の安定化。これが目指すべき方向性。ただこれだけみるといまの自民党とやはり変わりはありません。
これに個人の重視、自由な生き方・働き方、教育子育てへの徹底投資。
こういった点については立憲民主党やれいわ新鮮組が今回の参院選で訴えた施策の方向性ですが、個人的には本来維新がカバーする点かと思います。
維新がカバーしているものの有権者には違ったイメージで映っているとも考えられます。
「成長戦略+個人の重視」
これがいま求められている選択肢であると個人的には考えますし、この点を自民とも立憲とも違う選択肢として提示する必要を感じます。
シェアリングとか個人の自由とか、やろうよ
ひとつ具体的に、成長戦略と個人の重視、これに地方創生も加えた方向性が個人的にはsociety5.0の実践にあると考えます。
内閣府の進める「society5.0」(https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/index.html)。
目指すべき社会がこれだと感じたため維新の参院選全国版チラシにはこれを記載させて頂きました。
技術の発展で既存の市場を活性化する。
遠隔教育や遠隔医療、ラストワンマイルの配送やシェアエリングエコノミー。東京にいなくても「最先端」に触れることができる機会を創る。衣料や食品なども島しょ部でも即座に手に入れることができる。
また副業の解禁や勤務時間の概念を撤廃することで労働の柔軟性・生産性を向上させる。
労働生産性の向上はGDPにも寄与、成長戦略の一環として時代に合ったものと考えます。
口で言うのは簡単ですが、いざ進めると様々な障壁があります。特に既存の団体さんとは十分な折衝が必要でしょう。
自民党はおそらくこの折衝を乗り切ることができない。時間がかかる。
だからこそしがらみのない維新がこの新しい技術や思想を積極的に実践、取り入れていく。
成功事例を輩出していく。
そしてこの解のひとつがスマートシティ。吉村知事の方向性は間違いない。
成長戦略に立脚するからこその都構想
成長戦略の確立でもっとも重要な実践が大阪における都構想です。
大阪府と大阪市の広域行政機能を一元化し大阪の持ちうるポテンシャルを最大限発揮する。
知事と市長。意思決定を奇跡的に図っているいまの大阪。そしてその活気がなによりの証左です。
成長すれば税収が増える。
今年度の予算概要では600億円をこえる増収をみこんでいます。
成長すれば安定した財源を手に入れることができる。
それを社会保障、教育福祉、医療に徹底投資する。負債も減らし、利子負担も減る。
冒頭に戻りますが、
「将来世代のためにも財政規律の堅持、成長戦略で財源を確保し住民サービスの向上」
これこそ維新の解。
冒頭の質問「維新は緊縮財政なのか」の答えは
「否。財政規律の堅持を目指しつつ住民サービスに徹底投資。机上の空論ではない成長戦略でさらなる住民サービス拡充を目指す。」