昨日(2019.1.11)の法定協議会
昨日開催された法定協議会での議論は決して良いものではありませんでした。
年末から慌ただしく報道されている中で、各党の発言も注目されていたところですが、残念ながら協議会のもっとも重要な役割である「特別区設置の素案」作成にむけて建設的な議論が出されることはなかったです。
公明党さんからはこれまで同様、「組織の積み上げ方式で職員数を算出せよ」・「大都市事務については府の財源で執り行うべき」等の発言がなされ、キャッチボールが出来ているようで出来ていない状態が続くことになりました。
公明党以外は話にもならない
公明党さんに対しての批判ととられるかもしれませんが、「特別区」の対案となる「総合区」制度の提案や協議会・市大問税財政委員会でのこれまでの議論をみると公明党さんは建設的議論に努めてくれていると感じることもあります。
何より「総合区」の対案を出されたことは、議論として大変建設的であり、これまでの経過も勘案頂いた上で党としての最大限の判断を頂いているとも感じてます。
ひどいのは自民党と共産党。
対案もなく制度と関係のない政治的な批判ばかりで制度議論にとってなんの足しにもならない発言を繰り返されています。
もう何度となく申し上げていますが、特別区設置法定協議会の役割は「特別区設置に関する素案」の作成です。
それ以外の政治的批判があるなら府議会・市会で好きなだけやればいい。
もう自民党と共産党の発言は語るレベルにないので以下では省略します。
(ちなみに自民府連が提案していた都構想の対案である「大阪会議」はまったくの機能不全。こちらもお話になりません。)
まずそもそも法定協議会の役割
さて何度も申し上げているとおり「法定協議会の役割」は「特別区設置に関する素案を策定すること」です。
これは協議会規約第3条1項に明確に記載があります。
http://www.pref.osaka.lg.jp/fukushutosuishin/daitosiseidokyogikai/
あくまでイメージですが、法定協議会は「議会」ではなく「審議会」です。
ある議題について会の方針、「素案」を策定して議会に答申する。
議会ではその答申を受けて議論を行う。
法定協議会は府議会・市会の議決により設置されています。
「特別区設置の協定書(案)を作ってね。議会で審議するから。」
ですので法定協議会で素案決定後は総務省に送り、問題なければ可決され議会に戻されます。
そして府議会・市会で特別区設置素案について議論するものです。
昨日知事からも言及されました、「議員の任期中に決定するもの」の発言の根幹はこの点にあります。
今の議会構成で議決して設置された法定協議会。なのに議員の任期中に結論を出さないのはおかしい。
その通りです。任期中に素案策定に向けて熟議の上最大限の努力を払わなければ議員失格なんです。
日程の設定は維新、もしくは会長の強行な判断か
さて昨日の他党の発言から、今回の法定協議会の開催は強行開催だったのか、という点について反論します。
大阪市大都市税財政特別委員会は開催せねばならぬのか
大阪市では大都市税財政特別委員会という委員会が設置されて大都市議論がなされています。
あんまり報道されませんが、制度議論はこっちで結構活発にされています。
http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/page/0000002269.html
なんでこの議論を法定協議会ではしゃべらないんだよ自民党、と喉まで出ていますが言わないでおきます。
かん口令でもあんのかな。某都島府議さんの指示かな。自民はもっと大阪市議がしゃべればいいのに。
すぐ話がそれます、ごめんなさい。
法定協議会開催にあたっては大阪市大都市税財政特別委員会と交互に開催すること。
これが「決まり・ルール」であり、これを無視した今井会長の運営は粗暴だ。という旨の発言がありますが。
そんなルールはありません。
これまでそういった意見を最大限尊重して、特別委員会の開催を調整してきましたが、そんな「ルール」はどこにもないんです。
あたかも規約等に定められたルールを今井会長が無視して日程調整してきた、という趣旨の指摘がありましたが、まずこういった事実はありません。
そもそも昨日の議論はそもそも昨年末に行われるはずのものでした。
公明党さんの提案により会長の指示がでて資料が作成された。この新資料に基づいて議論がなされるはずでした。昨年末12月27日。
ところがこの協議の時間は維新以外の会派により実施されず、12月27日の法定協議会は15分程度で終了しています。
この法定協議会、委員のみなさん年末のご挨拶でお忙しいからかなんか知りませんが、たった15分の資料説明しかなされなかった法定協議会にも関わらず、これをうけて「大阪市大都市税財政特別委員会を日程調整して開催せよ。その後でなければ法定協議会は開けない」という趣旨の提案がなされたわけです。
こんなこと聞いてたら100年たってしまいます。
というか事実、都構想は議論され出して70年たっています。そら進まんわこの国の政治。
公明党のボールは果たして「捕れるボール」なのか
すこし制度議論に触れます。もうこの辺で自分でも書いていてちょっと長くなってきました。すいません。こっからさらにややこしくなります。
まず現在、自民と共産からはロクな提案もないので省略しまして、公明党さんから提案されている点は下記の点に集約されてきました。
以下2点について事務局より資料提示がない場合は協議会を進めることができない。
1、あらたな特別区の組織体制(職員配置)については積み上げ方式で算定せよ
2、市から府に移管される広域事務については調整財源を使うことなく府税で対応せよ
これが現時点での公明党さんの投げているボールです。
この点について、これまで協議会でも再三伝えてきましたが、これは事務局で対応することが現実的に不可能なんです。
つまり捕れないボールなんです。
1、あらたな特別区の組織体制(職員配置)については積み上げ方式で算定せよ
上記の議論について。
現在の素案は、職員総数を決定したのち各所管課へ配分する方式を取っています。
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/30429/00312921/siryo2.pdf
これイメージしにくいと思うんですが、ざっと申し上げるとあらたに誕生する特別区の人口規模に比して、中核市程度の事務がなされると仮定した上で近隣中核市の職員数を平均して算出されたものであり、特別区設置の素案においては「現行の大阪市より職員が増えます」。
事務レベルから見て近隣自治体と比較の上、職員総数のイメージを定める、というものです。
ちなみに実態の自治体組織マネジメントも当然この手法です。
「大阪市定員管理等の状況」
http://www.city.osaka.lg.jp/jinji/cmsfiles/contents/0000014/14049/29kyuuyoteiinn(2).pdf
自治体の継続性を維持するためにも、長期的な職員総数の構成や退職管理、給与算定など財政に与える影響、などを勘案した上で職員総数を決定し、その総数の中で差配していくことになります。
公明党さんの提案は、この素案の算定方式ではなく、事業課から聞き取りの上積算し総職員体制を出せ、というものです。
つまり
A課 「うちはいま5人やけどしんどいから15人ほしい」
B課 「うちは20人やけどあとちょっとでいい感じやから35人ほしい」
C室 「うちは仕事増えるし人手足りんから50人いなければならない」
よし、計100人ね。
で算出せよ、とのことです。
まずそもそも素案検討段階において全所管課にこの聞き取りを行うことは事務手続き上非現実的であり、かつそれで積算されて出された人数をもって「正しい組織」とは到底言えないんです。
それに人事に携わった方ならお分かりの通り、現場の職員配置の要望は当然膨らみます。
それを人事当局との厳しい折衝の上、調整を繰り返していきます。
所管課の要望人数をもって組織構成とせよ、など通常の自治体運営では考えられないものです。
ところが、その積算方式で算出しなければ、議論を進めることができない、というのが公明党さんから事務局へのボールです。
これは捕れないボールであり、建設的提案とはいえません。
2、市から府に移管される広域事務については調整財源を使うことなく府税で対応せよ
こちらも然り。
大阪市の行っている広域事務については、その決算ベースで算出され府に財源と共に移管されます。
この移管する事業を府税で対応せよとのことです。
素案では移管される事務の事業費については調整財源で充てられることになります。
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/30429/00312921/siryo1.cleaned.pdf
現行の事務に伴い事業費が移ることは当然で、なにも行政サービスが実施されないわけでもありませんし、二重に負担になるものでもありません。
これを「移管事務は府税で対応せよ」となると制度設計もゼロベースで考え直せ、と指示しているものと同じであり建設的議論ではありません。
ともあれ意見は意見。
これを協議会として委員間で討議してくれたらまだいいんですが、「委員間協議」をまったく行ってくれず、ひたすら事務局への質疑が繰り返されています。
先に申し上げたとおり、法定協議会は、参加している委員(知事、市長、維新、自民、公明、共産)で協議して素案を策定していくものです。
職員が決めるものでもないし、会派ごとにバラバラに修正指示するものでもありません。
委員の総意(過半数でも議事の判断でも良いんですが、ともあれ委員間協議を経て)決めるものです。
上記の無茶ぶりを事務局あて続けていても立場の弱い事務局(行政職員)はどうすることもできません。
捕れないボールを投げ続ける・委員間協議に移らない、この点をもって現状を「丁寧かつ慎重な議論」と評することはかないません。
今後について
・委員間協議の必要性(区名・定数)
構成している委員の責務において、その議員任期中に、特別区設置素案は協議し決定されるべきです。そうでなければ責任放棄にほかなりません。
少なくとも協定書記載事項である区の名称と区議会の構成についてはいまだに委員間協議がなされておらず、このままでは素案を作成することは不可能です。
一刻も早い法定協議会における委員間討論の実施と、議会の責務として協定書案の策定を切に望みます。
あと最後に
総合区の議論がなされていない?
昨日公明党さんから発言がありました。総合区の議論が法定協議会でなされていない、とのこと。
いやそれ公明党さんの案ですんで。
われわれ特別区主張してますから特別区の議論しますし、自民共産含めてみなさん特別区ディスってくるから特別区の議論に偏りますけど本来公明党さんが毎回「特別区と比して総合区はコレコレでこの点優れてるよね、どうかな?」的なご主旨の発言があればばっちり議論になりますからって喉の奥まで出ているとことを飲み込みますはい。
でもいやほんとに公明さんは自民共産に比して建設的に協議会にのぞんで頂いていると思ってます私は。
ぜひ委員間協議の実現を何卒よろしくお願いいたします。