大阪府原子炉問題審議委員として熊取町にある京都大学原子炉実験所を視察しました。

京都大学研究用原子炉(KUR)は日本全国、また世界各国からの共同研究利用などに供されてきました。

原子力基礎科学から粒子線物質科学、放射線生命医科学など幅広い分野の発展に寄与されてます。

要は出力の低い研究用の原子炉です。
構造は原子力発電所のそれと同様です。

原子力、と聞くと発電をすぐにイメージしてしまいますが、上記のとおり医学サイエンスなどの分野においても幅広くその研究成果は活用されてます。

研究所内部には大きく二つの原子炉があります。
一つが上記のKUR。

もう一つが原子炉の基礎的研究用の臨界集合体実験装置(KUCA)です。

こちらは原子力新基準を既にクリアして、稼働が可能となりました。

最大出力は100W。電球一個分程度の出力となりますが、構造は一般的な原子力発電と同様の構造とのことです。

まずはKUCAから視察。

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6本の棒が制御棒。

磁力により上方から吊るす構造となり、稼働時には上に引き上げられます。

制御棒が引き上げられると稼働し、一本でも下に降りると停止します。

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別の炉。


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これが実験用のカプセル。

カプセルの内部に試料を入れて炉心照射を行い物質の変化等を観測するものです。

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こちらがKUR。

最大出力は5000KW。

出力的には福島第一原子力発電1号機の1/1800程度。

こちらはまだ原子炉新基準に基づく稼働の許可申請中とのことで一両日中に稼働の結果が分かるとのこと。

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制御棒のサンプル。

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持たせて頂きましたがかなり重量がありました。

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原子炉内部。

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稼働時には内部に低濃度ウラン燃料を入れます。

水色に見えるのはもちろん冷却用水です。

炉の内部は冷却用水で満たされてます。

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そしてここからがガン治療の新たなる一手。

BNCT
(Boron Neutron Capture Therapy)
ホウ素中性子捕捉療法

この新技術が普及すればガン治療に大きく貢献するものです。

専門家ではないので浅い説明で申し訳ありませんが。

ガン細胞だけが吸収するホウ素薬剤を体内に投与し、その上で熱外中性子を照射することで、ガン細胞だけを選択的に破壊するものです。

http://www.shi.co.jp/info/2012/6kgpsq0000001in0.html

実験所内なので少人数しか治療に当てれていませんが、確かな成果が出ています。

台湾、ドイツでは具体化にむけて同研究所と動きだしているとのこと。

重粒子線治療に比してはるかに安価なコストと所要面積で設置が可能であり、この技術の国内普及を目指しておられます。


原子炉新技術における安全性確保や医療新技術の開発など、現在当研究所が行われている研究活動の一端を拝見しました。大変勉強になりました。

今後の委員会質疑や代表質問等に効果的に反映していきます、しかし大変印象に残る視察でした。

審議会は8/30に開催。

それまでに当議題もしっかり勉強していきます。