17日の本会議で大阪府都市開発株式会社(OTK) の株式売却についての議案が否決されました。
新聞報道等でも記載のあった通り、大阪維新の会大阪府議団から4名の反対が出て、53票対51票で否決が決定しました。
この間の経過について簡単にご説明いたします。
OTKは鉄道の会社と思われがちですが、物流事業なども経営しています。
橋下知事時代の外郭団体改革の中で、採算性の高い会社として株式の売却方針が決まりました。
先月、大阪府の保有する株式の一括売却を公募で行い、売却想定は670億円としていました。
公募の選考の結果、売却先の優先交渉権者が米国投資ファンドのローンスター社(ロ社)に決定しました。
指摘のあった問題点の一つは、この「公募の選考プロセス」です。
価格点70点、技術点30点で評価が行われますが、提示価格に天井はなく、想定より高値(はるかに高値)で提案があった場合、技術点がいくら高くても高値で提案した者が競り落とすことになります。
報道にあったように、値下げ運賃について次点者の方が値下げ幅が大きいにも関わらず、より高値で提案してきたロ社に決定しました。
しかし、ロ社は売主が670億と想定していたものを通常の予想よりはるかに高値の780億と提示しています。
より高値で府民の資産を評価し、購入してくれようとしている会社に高得点がつくことは不当ではないと考えます。
また、ファンドは投資家重視で、公共性の高い鉄道事業は利用者が不当な負担を負うことになるという問題提起もありましたが、投資家に貢献するためには当然企業価値そのものを向上させなければならず、株式を取得した会社が利益を上げられない、継続性がない企業になってしまえば資産の毀損になってしまいます。
ようはファンドとしては株式取得企業(OTK)の企業価値を上げることが投資家への貢献となり、企業価値を向上させるためには利用者などステークホルダーからの評価を上げることが一番の企業価値の向上につながります。
こういった観点からファンドが利用者サービスをないがしろにするという批判は情緒的なものに過ぎず、それより問題なのは「ヒト・モノ・カネ」を世界から呼びこむ大阪を主張している割に外資系企業へのアレルギーを露呈してしまったという点です。
また外資系企業からの780億円というマネーフローが関西経済圏に流入することは、万一数年のことであったにしても関西経済圏のマネーフローを向上させ、経済圏の景気底上げにつながる可能性もありました。
今回の提案に対する否決は、こういった「木を見て森を見ず」のものであり、将来的にも大きな大阪の可能性に繋がっていた新しい第一歩を踏み外したことになります。