高橋先生の「日本国の深層」
取り上げた各論に対しデータを元に説明があり大変わかりやすかったです。
新聞・テレビ等、巷に流れる主張は、その根拠となるデータから都合よく編集されているため誤解が多い。
元財務官僚、数学で卓越した知識をお持ちの先生ならでは、正確なデータ、巷で流れているデータとは違った角度から論証されていて大変勉強になりました。
消費増税の必要性に言及する際、よく使われるグラフに「ワニの口」というものがあります。
(「ワニの口」で検索していただければたくさん出てきます)
国家の歳出と税収に関して、年次ごとに推移をとったものですが、この形が開いた「ワニの口」に見えるがために呼ばれているものです。
すなわち、
歳出が増加しているが税収(歳入)は減少している
↓
プライマリーバランスが取れていない
↓
税収を上げるべきだ(消費税増税必要論)
↓
歳出歳入の均衡がとれる
という論調で消費増税の必要性に理解を求めるものです。
この二次元の比較においてはそうなるのでしょうが、税収減に関する根拠が不明確であり、一概に税収が足りないから税収上げろでは安っぽい議論です。
ここに名目GDPの年次推移を記入すると、税収と連動している。もちろんそんな資料は巷に出回っていないので高橋先生がここに書き入れて検証されています。
すなわち名目GDPを上げれば税収はおのずと向上するものであり、名目GDPの向上には、増税ではなくインフレターゲットによりマイルドインフレにすることで自ずと達成されるという論調です。
そうであるならば日銀法改正なり、我が国の中央銀行の金融政策に論究したほうが効果が期待できる、増税なくしてプライマリーバランスを均衡させることができるという主張です。
消費税増税のための一体改革法案が可決しました。政局に触れるのは好きではありませんが、成立もドタバタ劇でした。
国民の財布に手を突っ込む限りは国民の信頼を得なければいけません。
歳出削減や身を切る覚悟を提示せず増税に向かうこと、まことに遺憾です。