フッ素の過剰摂取・・・スリランカで健康被害 | 横山歯科医院

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[鶏骨で水質改善 スリランカの健康被害で富山県立大教授]

(朝日新聞  2011年7月21日)


高濃度フッ素が入り込んだ井戸水を原因とする健康被害がスリランカで
広まっている。
飲むことによって、歯が変色したり、背骨が痛んだりするという。


対策を求められた富山県立大環境工学科の川上智規教授(52)らは、鶏の骨を
使った水質改善に取り組んでいる。


川上教授は昨年3月、学会で知り合ったスリランカ人の研究者から現地の水質
調査を頼まれた。
「池で魚がたくさん死んでいるが、原因が分からない」という。
現地を訪れてみると、被害は魚にとどまらなかった。
子どもたちの歯には茶色っぽい斑点ができる「斑状歯(はんじょうし)」の
症状が現れ、腰や背骨が痛いと訴える人もいた。


斑状歯はフッ素の過剰摂取で起こり、摂取を続けると骨がもろくなって体の
節々が痛むとされる。


飲料水となっている井戸水を約100サンプル持ち帰って分析した結果、
予想通り高濃度のフッ素が検出された。
最も高いもので、日本の厚生労働省が上限と定める基準の約10倍の1リットル
あたり7ミリグラムに達した。

ただ、フッ素は地質から井戸水に流れ込んだとみられ、井戸の深さなど条件の
違いによって飲んでも問題ないレベルの井戸水もあった。

川上教授は現地に連絡を取り、緊急措置としてフッ素濃度によって飲料用と
その他の用途に井戸を使い分けるよう勧めた。

同時並行でフッ素除去の方法も研究。
動物の骨を焼いた炭でフッ素を除去できるという説があり、スリランカでも
よく飼われているニワトリの骨で試すことに。
実験用の骨を集めるため、学生や家族にも協力を求めて骨付きチキンを
食べまくったという。
ニワトリの骨を600度の高温で焼いて骨炭をつくり、フッ素を含有した水に
入れて実験した。
想定通りフッ素除去の効果が確認できた。

川上教授は再び現地入りし、鳥骨炭で井戸水のフッ素を除去する一連の作業を
現地の研究者に指導。
井戸水のろ過装置やティーバッグに鳥骨炭を入れる方法など、実用化に向けた
取り組みが続いている。


一方で、フッ素以外にも、硝酸イオンの混入によって生まれたばかりの
赤ちゃんが呼吸困難で亡くなる「ブルーベビー症候群」など、スリランカの
井戸水による健康被害は後を絶たない。


今年3月には、県立大とスリランカ政府で共同の調査、研究を進めるための
学術交流協定が結ばれた。
川上教授は「問題は山積だが、現地に合ったやり方で解決できるよう、知恵を
出し合って考えたい」と話している。

(成川彩)


http://www.asahi.com/health/news/OSK201107200148.html