そごう心斎橋本店売却 =プロジェクトの失敗 | 横山武志建築設計事務所blog

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若手建築家のアイデアの素

そごう心斎橋本店が売却されるという報道がされましたが
ちょっとショックを受けています。

そごう心斎橋本店は、大阪の人にとって心斎橋のシンボル的デパートでもあり
「そごう」デパートに関わる人にとっては、精神的支柱でもあるでしょう

私は、大阪に特段、縁もありませんが
この再建築に纏わる経緯を紐解けば、
この結果に至ったこと、この決断がされたことに心が痛みます。

現在の建物は、「なにわ遊覧百貨店」をキャッチフレーズにかかげ、
平成17年9月に再オープンしましたが、
元々の建物は、建築家、村野藤吾が設計し、1935年にオープン。
縦ルーバーを外観に配し、村野建築の初期の代表作であり、
建築的にも評価されていた建物でした。

残念ながら、2000年、そごうの民事再生法申請
同年、大阪店閉店。

大阪店の閉店は、民事再生法の申請以前に決定はされ、
新生そごうのシンボルとして、この再建があったようですが、
結局、このプロジェクトは心配に終わってしまったようです。

建物を取り壊し、新たに建て直すということは
より良い環境(空間)を創り、新たな価値を創出することであり、
残念ながら、その精神は、建物取り壊しとともに、
なくなってしまっていたのでしょう。

東京中央郵便局、新歌舞伎座等、近代建築の保存と不動産の有効活用
という相反する事項をどう成立させるか?
前述2つのプロジェクトには「?」を感じていますが、
現状の都市計画法、建築基準法を超えた仕組みが必要ではないかと思っています。