
日経アーキテクチャの記事からこの著作を手にした訳だが、
集合住宅の運営の在り方と日本人について、非常に興味深い考察が展開されている。
治安維持が付きまとう諸外国の都市では、集まって住むことにより
良好な環境を維持することが主要な条件となる。
一方日本の場合、近年防犯という考え方が広く一般的になっているものの
その在り方は、本質的には違う。
日本に集合住宅=団地が誕生して、40年。
集まって住むことは、普遍的になった。
その自治の在り方も、組織と世帯の関係も変化している
(もちろん社会全体が変化している)
建築家が唱える「コミュニティー」論に警鐘をならし、
「共同性」を作りあげる「ガバナンス」に著者は注目する
「コミュニティー」論による建築計画については、
大学時代、その性善説による前提により、教育を受けてきたように思える。
しかし、そこには矛盾があること明らかであり、
計画自体に予定調和を実感することは多々ある。
しかし、世の中は、矛盾に満ちている。
完璧はない
その微妙な状態で、社会は存在しているのはなかろうか。
もちろん、自分の計画について、矛盾も予定調和もある。
しかし、それを支持してくれる方々がいるからこそ存在する。
共同性についての在り方については、
現代社会の中でどうあるべきか、研究すべき対象であろう
しかし、住み方はそれぞれであり、それぞれの共同性がある。
求めるモノの違いがある。
一刀両断に決めつけるのは、困難であろう。
家庭、地域社会、自治体、国
社会と人との関係が難しくなっているだけに、
集合住宅に限らず、「共同性」の在り方は問われている。