19世紀末期から20世紀の初頭の世界情勢を
上巻では、各章ごとにパリ、ロンドン等のヨーロッパの「都市」をピックアップし、
そこでの情勢とその当事者たる在欧日本人の葛藤が描かれ、
また下巻では、野口英世、新渡戸稲造、鈴木大拙、マッカーサー、ガンディー等の
「人物」から20世紀の情勢を紐解いています。

「歴史から何を学ぶか?」
「建築」にも「建築史」があるように
現代から次の何かを生み出すためには、
過去をどう整理し、どう扱い、どう認識するのか?
という視点は、大切にしたいと思っています。
現代においても、911以後、年始以来のドルの凋落を目前にして
世界のパラダイムの変化が起こりつつあります。
ちょうど約1世紀前、日本は明治維新を経て、近代化の道を進み、
日清戦争から日露戦争へと向かう過程にあり、
欧米と肩を並べ、2次対戦へと突き進むターニングポイントで
あったと思います。
その時、個々の日本人がどのように行動していたのか?
改めて分析することにより、やはり次の社会へ向かうにあたって
何らかの要素が見えてくるように思えます。
寺島氏は、雑誌「フォーサイト」で97年より始めており、
現代の情勢から考えても、そのぶれない基軸に感服するばかりです。